過去ログ - 椎名法子「トキコ」
1- 20
6: ◆saguDXyqCw
2017/01/13(金) 17:43:48.34 ID:wEYB5TOK0


 日をたくさん浴びながら、すらりと伸びた綺麗な足を組んで本に目を落としてた。

 綺麗な赤みがかった髪は、日の光でルビーみたいに輝いてた。

 本を読む顔は、つまらなそうにも真剣そうにも見えた。もしかしたら両方なのかも。

 あたしは足が止めて、木陰の中からその光景に目を奪われた。

 時子さんのことはもう知ってた。あたしがアイドルにスカウトされてから、少し後に事務所に入ったことも。

 でも仕事やレッスンで一緒になることはなかった。

 あたしにとって、彼女はあくまでポスターのなかで輝くアイドル……つまり、ライバルの一人だった。

 でも事務所は同じ。ちょっと悩んでから、あたしは木陰から彼女の元に歩いていった。


「時子さん……だよね?」


 彼女は不愉快そうに顔をしかめながらあたしを見上げて、それから目を細めた。

 あの時と一緒の、奇麗な琥珀色。


「貴方……ファンって訳じゃなさそうね。今は公私を分けたいと言いたいところだけど、ファンじゃないならそうもいかないわ」

「あたし、椎名法子。同じ事務所なんだけど……知ってるかな?」

「だからファンじゃないと思ったのよ」


 どうやら時子さんも、あたしのことは知っていたようだ。





<<前のレス[*]次のレス[#]>>
145Res/158.57 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice