2:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/20(金) 00:24:15.73 ID:b4qt7MSMo
もう何度目になるだろうか、この観覧車に乗る夢は。
これはきっと、私の子供の頃の記憶から作られたタイプの夢。普段はまったく思い出すことすらないのに、この夢を見たときだけ記憶の引き出しから取り出すことができる。
今よりもっと子供の頃……初めて観覧車に乗った時のこと。
いったい何歳のときだったか。幼稚園だったか小学生だったか、それすらも思い出せないけれどそれくらいの時。家族だったか親戚だったかに連れられ、私は大きな観覧車のある遊園地に来た。
絵本で読んだのと同じ、大きな大きな観覧車。遊園地に到着するだいぶ前からもう見えていた、赤と白の巨大な輪。幼い私の憧れだったもの。
そのときのことが私の心に深く沁みついていて、こうしてときたま夢の中で不定期に咲いてくるのだろう。
初めて乗ったそれ以来から一度も乗っていないから、もしかしたらこの夢の景色は、実物とは全く違っているのかもしれない。記憶の断片を寄せ集めて勝手に作り上げた、本物とは似ても似つかない代物なのかもしれない。三拍子の音楽も、本当は鳴っていないのかもしれない。
徐々に徐々に、地上の景色が視界の下へと降りていく。ゴンドラがほとんど垂直に上昇し始めた。時計で言うなら9時の部分。
遠くに見える建物が小さくなる代わりに、きらめく海の景色と、反対側には山の景色……そして大空が広がっていく。
たんたった、たんたった…………オルゴールの心地よい三拍子のリズムに揺られながら、私は12時部分へと登っていく。もうかなり高いところまで来た。
きらめく海の波間に目を移していると、突然目の前に赤い風船が浮かび上がってきた。思わず驚く。
下で待っている子供が手放してしまった風船なのだろうか。私よりも少し速いスピードで、それはふわふわと青い空に飛んでいった。
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