過去ログ - 女「また混浴に来たんですか!!」
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271:名無しNIPPER[saga]
2017/03/12(日) 23:02:53.52 ID:MqkE3KNv0
10年近い労働の対価で、俺は刺青を彫りにいった。
出来る限り親父さんの模様を思い出しながら、彫師にイメージを伝えた。
親父さんと同じように体中に彫るつもりだったが、温泉に入れなくなるのは困ると直前になって思いなおした。
天然の温泉に入るくらいならぎりぎり隠せるだろうと、下半身の一部に彫ってもらうことにした。
足を洗って表の世界に出て、俺は親父さんと一緒の足になった。
犯罪者には就労支援がある。
俺は刑務所の作業とさして変わらない、単純な仕事を繰り返した。
その仕事場には、前科のない表の人間もたくさんいた。
40代を超えたオヤジたちは、自分らは社会の最底辺だと自虐風に笑いながら、ダンボールに品物を詰める作業を繰り返していた。
パートのおばさんが1時間の残業を指示すると、口々に子供のような文句を言いながら作業を続行した。
まともじゃないか、と思った。
あんたにはまだ未来があるよと励まされた。
はい、とだけ答えた。
日が経つに連れて、俺は以前行っていたような、裏の仕事に手をのばしていった。
稼ぎがよくなるという理由もあったが、それ以上に、自分にふさわしい場所はそこだと思ったからだ。
自分一人が生きるのに必要な金と、自分ひとりで過去を思う時間だけを手に入れて、あとは、死すべき瞬間を待つのみだった。
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