過去ログ - 未来人「少し先の未来で、待ってるから」
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20: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/03(金) 20:34:55.41 ID:Nr4cjnOQ0
 恐る恐る足元を見る。
 排水路。今日はフタが閉まっていた。でも何日か前、ここには。

 骨が捨てられていた。

 この道を、化け物は通ったことがある。

 つまり。

「……焦げ紫の匂いがする」

「え?」

 山田はきょとんと首を傾げたが、私は全身から嫌な汗が噴き出していた。
 こんな季節なのに、シャツが肌に張り付くのを感じる。

「反対側に行こう」

 今、会ってはいけないと思った。

 焦げ紫は強くなっている。

 私は山田の腕を無理やり掴んで、転がりそうになりながら、その二の腕をひっぱった。
 少し強い力で回れ右をする。

「え、ちょ、どうしたの?」

「こっちにはいないよ」

 焦げ紫は濃くなっている。

 山田は少し戸惑っていたけど、私の尋常じゃないこめかみの汗を見て、少し怯えたようで、黙って付いてきた。

 なるべく自然に歩いているつもりだったけど、後から聞くと、その時の私は松葉杖の割には異常に早歩きだったらしい。

 その後、サイレンが鳴るのを今か今かと待って、山田の家の前で別れた。
 山田は「また明日」と言って玄関に消えていった。

 その日は風呂に入るまで、気が気ではなかった。


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