過去ログ - 未来人「少し先の未来で、待ってるから」
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35: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/04(土) 22:35:13.44 ID:VUzEAQad0
 アパートの近くまで来ると、少し車の音が聞こえてくるようになった。

 近くに大きい道路なんてないはず。どこかの家族が外出していたのかもしれない。

「この奥だね」
以下略



36: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/04(土) 22:36:48.82 ID:VUzEAQad0

「走れ、走れ!」

 くねくねと折れ曲がった細い道を、3人で全力疾走で駆け抜ける。
 私は右肩を中村に支えてもらっていた。
以下略



37: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/04(土) 22:37:52.23 ID:VUzEAQad0

 私の心臓は、胸を突き破って出てきそうだった。

 隣では山田が必死で息を整えている。

以下略



38: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/04(土) 22:39:26.88 ID:VUzEAQad0

『こっち!』

 諦めかけた私の腕を、中村がひっぱった。

以下略



39: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/04(土) 22:40:32.27 ID:VUzEAQad0

 息を整えた3人は、ひとまず、これからどうするかを話し合った。

「松葉杖を取りに行かないとな」

以下略



40: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/04(土) 22:41:32.11 ID:VUzEAQad0

 私は排水路から飛び出ると、2人から少し離れて、大きく息を吸った。

 ……焦げ紫。間違いない。

以下略



41: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/04(土) 22:43:57.09 ID:VUzEAQad0

 ここから小学校まで、距離はだいたい500メートル。

 小学校からここは見えなくて、少なくとも二回曲がった、200メートル先の駄菓子屋の前まで行かないと、屋上にいる岡西に見つけてもらうことはできない。

以下略



42: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/04(土) 22:45:35.05 ID:VUzEAQad0

 少し湿った、気持ちの悪い足音が近づく。

 一歩。

以下略



43: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/04(土) 22:47:20.32 ID:VUzEAQad0

 もう、3人とも涙でぐしゃぐしゃだった。

 山田も私も、普通に嗚咽を漏らして泣いていた。
 中村も、「くそぉ……」と声を漏らしながら、歯を食いしばって泣いている。
以下略



44: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/04(土) 22:49:47.02 ID:VUzEAQad0

「カメラのフラッシュだ!」

 フラッシュを使って岡西が未来人に合図をしたのが、ここからでも確認できた。

以下略



45: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/04(土) 22:52:25.28 ID:VUzEAQad0

 そのときは、その声は警官のモノかなぁ、と思っていたけど、その間違いに気づくのは随分とあとになる。

 ふらつきながらも走って、未来人が校門を開けているのがやっと見えてきた。

以下略



46: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/04(土) 22:53:32.41 ID:VUzEAQad0

 次の日。

 お母さんの声で目が覚めた私は、なんだ、昨日のことは夢か、と思ったけど、
 服が寝まきでなく、ギブスが茶焦げに汚れていたことから、「あぁ、本当だったんだ」と震えた。
以下略



47: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/04(土) 22:56:26.94 ID:VUzEAQad0

 放課後、いつもより少し短く感じた授業の後、私たちは教室に残っていた。

 私は3人に、昨日の後のことを尋ねた。

以下略



48: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/04(土) 22:58:12.09 ID:VUzEAQad0

 そのあと、3人が帰ってからも私は少し教室に残っていたけど、未来人はいつものように教卓の上にはいなかったし、群青色もどこにも見えなかったので、私は母の迎えを待って、そのまま帰った。

 車の窓を開けて、外の空気をにおう。
 あの骨が捨ててあった排水路の近くを通ったところで、小さく息を吸ってみたけど、もう何もなかった。
以下略



49: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/04(土) 22:59:59.99 ID:VUzEAQad0

 次の日、若干緊張しながら階段を上りきった私は、少し躊躇うように、ゆっくりと廊下を歩いて、教室に向かった。

 扉の前に立つ。

以下略



50: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/04(土) 23:01:29.29 ID:VUzEAQad0

 私が自分の席に戻ると、いつの間にか、未来人が隣に立っていた。
 未来人は足音がほとんどしない。

「質問があるんだけど」
以下略



51: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/04(土) 23:03:38.68 ID:VUzEAQad0

 小学校の頃の思い出は、だいたいこれくらい。

 他にもいろいろあった1年な気もしたけど、言ってしまえば、この数日があまりにも濃くて、他の日が薄くなってしまっている印象はある。

以下略



52: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/04(土) 23:07:59.93 ID:VUzEAQad0
ひとまずおしまい。
続けるつもりですが、時間空けるので、また来週頃にスレ立てる予定です。

あとでHTML化の依頼しておきます。


53:名無しNIPPER[sage]
2017/02/04(土) 23:14:20.44 ID:e570PhU3o

続き楽しみに待っているよ


54:名無しNIPPER[sage]
2017/02/06(月) 05:44:46.83 ID:HTWwfQWDo
みんな勇敢だったなあ
乙乙


55:名無しNIPPER[sage]
2017/02/08(水) 03:21:31.73 ID:ESRzjUShO
好きな雰囲気だ
お疲れ様でした


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