40: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/12(日) 00:37:23.09 ID:BcSldTJc0
それから2時間くらい後。
私たちは風呂の時間という名のカラスの行水を終えて、寝る準備を整えていた。
体調の方は特に崩れることはなくて、私はお湯であの匂いを忘れて、なるべく思い出さないように努力をしていた。
どうせ明日の朝にはシワまで揃えて畳まないといけないんだから、と、その日は枕投げは開催されなかった覚えがある。助かった。
先生の点呼を終えて、消灯まであと5分、ということろで、私たちの部屋の扉を、誰かが叩いた。
「先生かな?」
扉に一番近かった私が確かめに行くと、そこには、先生ではなく、東田が立っていた。
「ちょっと、用事があるんだけど」
消灯まであと数分。
けど、東田は「布団に潜ってる体で周りが言えば、誤魔化せるよ」と、変に確信を持った口調で言っていたものなので、私は何故か東田の誘いにのった。
靴を残しておかないと見つかるので、室内用のスリッパを履いたまま、外に出た。
こっちにきて、という東田に、どうしてか疑問も持たずについていく。この間に話はしなかった。
寝室のある建物から少し離れて、灯りの消えかけている受付の近くを通ると、誰か人の気配がした。
私たちはとっさにしゃがみこんだけど、「みてるよ」と、未来人の声がしたので、私は普通に立ち上がった。
彼女は自動販売機の前でペットボトルの水を持っていた。
「何してるんだい?」
東田が尋ねると、未来人はそっけなく「先生のところに用事があって」と答えた。
なんで水が要るんだろう。
彼女はさらっと髪をなびかせると、どこかへ消えていった。
東田は「行こう」と私を促して、さらに暗い林道の方へと進んでいった。
私はそれについていった。
いつ思い返しても、あのときの自分の判断基準が、理解できない。
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