過去ログ - 魔王「この空とともに旅をしよう」
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1: ◆FqOZ7jTRCo[saga]
2017/02/12(日) 23:59:20.05 ID:almLC53a0
兵士A「待て」
兵士A「そこの剣を持った男だ、待たぬか」
男「……」
兵士A「見慣れない身なりだな。お前、王都の民ではないな?」
兵士A「ここは王都の市門。この先は、王侯貴族と王都の民以外、通行証なしに通ることはまかりならん」
男「通行証……? あっ」
兵士B「通行証がないんですかぁ?」
男「通行証はな……ありません」
兵士A「なら残念だが、お引き取り願おう」
男「……が、こういうものなら」ガサゴソ
兵士A「金貨や物で我らを釣ろうとしてもそうはいかぬぞ。我らは誇り高き王都を……」
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2: ◆FqOZ7jTRCo[saga]
2017/02/13(月) 00:03:05.04 ID:Q8G1HzKN0
兵士B「げっ! これは……!」
兵士A「何だ兵士A。安易に奇声など発して武官としての心構えがなっとらんぞ」
兵士B「で、でもぉ」
3: ◆FqOZ7jTRCo[saga]
2017/02/13(月) 00:06:09.49 ID:Q8G1HzKN0
男「あ、いや」
兵士A「この者に元帥閣下の屋敷までご案内させますので、どうかご容赦のほどを」
男「いやいや、元帥の家の場所は知っているので、それには及びませんよ」
4: ◆FqOZ7jTRCo[saga]
2017/02/13(月) 00:07:37.28 ID:Q8G1HzKN0
男「待ってください。一人で歩いて行きますから、お気遣いは無用です」
兵士A「そうはおっしゃるが、王都は外部の方が一人で歩くにはあまりに危険すぎますので……」
男「まさかそんな」
5: ◆FqOZ7jTRCo[saga]
2017/02/13(月) 00:09:15.74 ID:Q8G1HzKN0
兵士A「隣国といえば、鉱山の国ですかな。あそこの剣ならさぞかし良質な剣でしょうね」
兵士B「試しに抜いてみてくれませんかぁ?」
兵士A「ばっ……! 何をお願いしているのだ兵士B」
6: ◆FqOZ7jTRCo[saga]
2017/02/13(月) 00:19:14.82 ID:Q8G1HzKN0
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戦士「あれが魔王城……」
7: ◆FqOZ7jTRCo[saga]
2017/02/13(月) 00:21:18.96 ID:Q8G1HzKN0
戦士「で、どうすんだ? 早速乗り込むか?」チャキッ
僧侶「準備は万端です!」グッ
魔法使い「……」コク
8: ◆FqOZ7jTRCo[saga]
2017/02/13(月) 00:24:12.02 ID:Q8G1HzKN0
戦士「なあ勇者」
勇者「何だ?」
戦士「勇者は『青空』てえのを知っているか?」
9: ◆FqOZ7jTRCo[saga]
2017/02/13(月) 00:26:06.15 ID:Q8G1HzKN0
僧侶「私たちは、勝てるんでしょうか?」
戦士「んあ!? 『勝てるか』じゃなくて『勝つ』んだろうが。俺たちはこれまでもそうやって戦ってきたじゃねえか」
僧侶「でも、魔王はボスです。しかも一回限りの勝負で、小さなミスも許されません」
10: ◆FqOZ7jTRCo[saga]
2017/02/13(月) 00:28:45.11 ID:Q8G1HzKN0
魔法使い「後味が悪かったのは対人戦ばかりよ」ボソ
勇者「そんな戦いで俺たちは腕を磨き、勝ち方を学び、折れない心を育んだ」
勇者「魔王には恐らく魔力を含めた『腕』しかない。だからこそ、俺たちが勝てるんだ」
11: ◆FqOZ7jTRCo[saga]
2017/02/13(月) 00:30:28.75 ID:Q8G1HzKN0
戦士「だがな、今みたいに心が折れた奴を立ち直らせることができるのは勇者だけだ」
戦士「そのバカでかい両手剣とか、そんなことは関係ねえ。俺たちは勇者がいたからこそ、ここまで来れたんだ」
勇者「ああ、ありがとう」
12: ◆FqOZ7jTRCo[saga]
2017/02/13(月) 00:31:40.21 ID:Q8G1HzKN0
勇者「友達?」
僧侶「私たち一行が王都で神の祝福を受けたときに、祝福する側として同席していたんです」
僧侶「私が王都に出てきて以来の友達なんです」
13: ◆FqOZ7jTRCo[saga]
2017/02/13(月) 00:33:17.34 ID:Q8G1HzKN0
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勇者「みんな、この門の扉を開けたら後戻りはできない。いいな」
戦士・僧侶・魔法使い「「「ああ」」」
14: ◆FqOZ7jTRCo[saga]
2017/02/13(月) 00:36:03.88 ID:Q8G1HzKN0
勇者「俺たちの中に魔王サイドのスパイがいるとでも言うのか? そんな陳腐かつチープな心理戦に惑わされるとでも思ってるのか!」
門番「クフフ。ではある男の話をしよう」
戦士「……」
15: ◆FqOZ7jTRCo[saga]
2017/02/13(月) 00:37:52.70 ID:Q8G1HzKN0
勇者「なっ……」
僧侶「そんな……」
戦士「…………」
16: ◆FqOZ7jTRCo[saga]
2017/02/13(月) 00:39:46.36 ID:Q8G1HzKN0
戦士「当時、貴様には婚約者がいたじゃねえか……!」
戦士「貴様から魔王討伐隊の話を聞いた後、俺も魔王戦のことを色々調べたんだ」
戦士「ここ50年の間、ほぼ10年間隔で魔王討伐隊が送り込まれているが、正常な状態で帰還した者はゼロだった」
17: ◆FqOZ7jTRCo[saga]
2017/02/13(月) 00:41:45.43 ID:Q8G1HzKN0
勇者「ま、待て戦士。こいつの言っていることはおかしい。こんな奴と1対1で戦うことはないぞ」
僧侶「そうです! そこの門番、私達4人が相手です!」
戦士「いや勇者、これは俺とこいつの戦いだ」
18: ◆FqOZ7jTRCo[saga]
2017/02/13(月) 00:44:06.04 ID:Q8G1HzKN0
男(えっと、ここの武器屋の角を曲がって……)
男(おかしいな、元帥の家はこの辺りだったはずだけど……)
男(何で会堂みたいな馬鹿でかい建物に出ちゃうんだ? というか何で武器屋の並びに会堂があるんだ?)
19: ◆FqOZ7jTRCo[saga]
2017/02/13(月) 00:46:39.05 ID:Q8G1HzKN0
男(誰かにつけられてる!? そういえば、街中でキョロキョロすると危ないって言われてたっけ)
男「私に用があるなら出てきていただけませんか!」
…………
20: ◆FqOZ7jTRCo[saga]
2017/02/13(月) 00:49:07.89 ID:Q8G1HzKN0
???「何を訳の分からぬことを! 立ち去らぬのなら、切り捨てるまで……!」ビュンッ
男「本気!? ああもう仕方ない」グイッ
???「御免!」シュンッ
21: ◆FqOZ7jTRCo[saga]
2017/02/13(月) 00:51:05.92 ID:Q8G1HzKN0
???「ふん、訳の分からぬ心理戦などには惑わされんぞ」
男「元帥の家を知りませんか? 確か、この辺りにあったはずなんですけど」
???「やはり命を狙っておったか」
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