13: ◆VnQqj7hYj1Uu[saga]
2017/02/14(火) 23:34:21.18 ID:YuI0VY3M0
  
  
  
  
  
14: ◆VnQqj7hYj1Uu[saga]
2017/02/14(火) 23:35:17.01 ID:YuI0VY3M0
 ーートップアイドルを育て上げたプロデューサーには、一年間のハリウッド研修の権利が与えられる。 
  
 私達をもっと羽ばたかせるために、と彼はそれを承諾した。 
  
 そういう制度があることは以前から知っていたし、本人からも、渡米の旨は伝えられてはいたけれど。 
15: ◆VnQqj7hYj1Uu[saga]
2017/02/14(火) 23:36:01.87 ID:YuI0VY3M0
 本当は、プロデューサーを引き止めたい。 
  
 『行かないで』って言いたい。 
  
 『私のそばからいなくならないで』って言いたい。 
16: ◆VnQqj7hYj1Uu[saga]
2017/02/14(火) 23:36:52.11 ID:YuI0VY3M0
  
  
  
  
  
17: ◆VnQqj7hYj1Uu[saga]
2017/02/14(火) 23:38:11.70 ID:YuI0VY3M0
 今までの私は、この気持ちを伝えることができなかった。 
  
 直接切り出そうとすると、なんだか気まずくなってしまいそうで。 
  
 たとえ話せそうな雰囲気になっても、恥ずかしくてうまく話せない。 
18: ◆VnQqj7hYj1Uu[saga]
2017/02/14(火) 23:38:53.08 ID:YuI0VY3M0
 こうやって前日になっても、私の決心は固まらなくて。 
  
 喉元まで出てくる言葉も、彼の前では出せなかった。 
  
 プロデューサーと大した話もせず、事務所を出た私。 
19: ◆VnQqj7hYj1Uu[saga]
2017/02/14(火) 23:39:37.19 ID:YuI0VY3M0
  
  
  
 でも、この想いを伝えないままなんて、もっとできない。 
  
20: ◆VnQqj7hYj1Uu[saga]
2017/02/14(火) 23:43:03.87 ID:YuI0VY3M0
 こんなに辛い思いをするくらいならいっそ、彼のことを嫌いになってしまいたい。 
  
 こんなに苦しい思いをするくらいなら、彼のことなんて忘れてしまいたい。 
  
 でも、私には……そんなことはできない。 
21: ◆VnQqj7hYj1Uu[saga]
2017/02/14(火) 23:44:03.22 ID:YuI0VY3M0
 それだけ私の中で、彼という存在が大きなものだから。 
  
 ずっと一緒にいたいと、初めて思えたひとだから。 
  
 それだけ私は、プロデューサーのことを大切に思っているから。 
22: ◆VnQqj7hYj1Uu[saga]
2017/02/14(火) 23:45:00.93 ID:YuI0VY3M0
 「よしっ……もう一度」 
  
 スマートフォンの電源をつけ直す。 
  
 私はメールの作成画面を閉じて、通話画面を開いた。 
23: ◆VnQqj7hYj1Uu[saga]
2017/02/14(火) 23:45:49.44 ID:YuI0VY3M0
 数回の深呼吸。 
  
 ……伸ばした指は、今度はちゃんということを聞いてくれた。 
  
  
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