過去ログ - 森久保「私に似ているプロデューサーさん」
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17: ◆8AGm.nRxno[saga]
2017/02/24(金) 09:47:18.32 ID:UKsbEgqz0
森久保がここに来てから二か月と少しが経った。

彼女のプロデュースは相変わらず難航しているらしい。

事務室では森久保のプロデューサーと社長が苦い顔で話をしていた。
話題はおそらく森久保のことだろう。

彼女はまだ個人レッスンから抜け出せていない。
あまりアイドルのことを見てこなかったから確かなことは言えないが、多分この事務所始まって以来の遅さだ。

事務所としては、もうなんでもいいからこの疫病神をどっかにやってしまいたいことだろう。

移籍というのも手だ。彼女の才能を十全に生かせるようなプロダクションに引き取ってもらえれば、アイドルになりたくないという森久保以外はみんな幸せになれる。
だがオーディションを通しておいて何の成果も上げられないまま移籍と言うのは事務所の沽券に関わる。なんとかして拍をつけたいところだが。

後は普通に辞めさせるという方法だが、森久保の親御さんはアイドル活動に乗り気だ。
金がもったいないから辞めてくださいなんてことでは納得しないだろう。正当な理由が必要になる。

ちょうど二人もそのあたりのことを話しているようで、移籍やらクビやらの単語が俺の耳まで届いてきた。

アイドルとしての才能はあるようなのにもったいない。モノは良いのに入れてみたら会社に合わないだなんて。
俺のことと言い、実は社長には人を見る目が無いんじゃないのか。

なんとはなしに社長を見る。その瞬間今まで森久保のプロデューサーと話していたはずの社長と目が合った。

俺が軽く会釈をすると、社長は俺のデスクに向かって歩き出した。

……やめてくれ。
嫌な予感がしていた。

さっきまで苦々しい顔をしていた社長が、俺と目が合ったとき、そして今、笑っているのだ。

窓際の席で足を止める。言うまでもなく俺のデスクだ。

「ちょうど君の話をしていたんだ」

このとき俺はすべてを察した。社長の思惑も、これから俺がどうなるのかも。

「例のオーディション上がりの子、君が担当してみないか?」




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