過去ログ - 【ダンガンロンパ】霧切「探偵だけではない青春」3
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21: ◆AZbDPlV/MM[saga]
2017/02/27(月) 13:38:32.92 ID:/Z5QAp8Q0
霧切 「……」

霧切 「私も、やり直したい…あなたのことを、なにも知ろうとしていなかった…だから知りたい」

霧切 「そしてあなたに、生徒としてではなく、今の私を娘としても…知って欲しい」

霧切 「お父さん」

 何年ぶりに口にしただろうか。いなくなってしまって呼べなくなってから、本当の気持ちといっしょに封印してきた、彼を父親と認める言葉。

仁 「……嬉しいものだね」

仁 「それと同時に、手放したものの大きさを実感してしまうよ」

仁 「私は愚かだったね」

霧切 「それはお互い様だわ」

仁 「はははっ」

 お互いに笑いあう。これまで開空けてしまった空白が、少しずつ埋まっていくように感じた。
 けれど、今回の目的はもうひとつある。

霧切 「それから、これは生徒としての意見になるのだけれど」

霧切 「あなたがこの学園にいてくれて良かったわ。新たな目標が見つかったもの」

仁 「ふむ。あのときのことだね」

霧切 「前にも言ったけれど、この学園の経営者、教育者として大切なものを見落としているあなたを認めていない」

霧切 「ヒトがヒトを変える。それはあなたが母を失った絶望も含まれる。けれど言い換えれば、希望が生まれる根元でもあるはず」

霧切 「ヒトは無限に可能性を生み出せる。ヒト自体がその無限の中のひとつ。正しく導けば、その可能性から繋がる才能だって育つはずだわ」

霧切 「機械的では意味がないのよ」

霧切 「それなのに、才能だけをみて、見せかけの成功に満足しているあなたはこの先、絶対に失敗し、後悔するわ」

霧切 「あのとき私は“見極めると言ったけれど、訂正し、新たに宣言するわ」

霧切 「あなたの間違いは、私が正してみせる!」

霧切 「そして私も、もう間違えない。もし次に私がお父さんを憎むときは」

霧切 「失望したときよ」

 力強く宣言した私に、苦笑しながらも、どこか嬉しそうにしながら、お父さんは言った。

仁 「本当に、これからの君の成長が楽しみだよ。響子」

 私はその言葉に不敵に笑ってみせる。これから私達は才能に関していろいろとぶつかり合うことでしょう。けれど、ヒトがヒトを変えるという考えは捨てたりしない。彼をきっと変えてみせる。
 試行錯誤に手探りながらでも、生徒として、娘としての絆や信頼は確かなものになると信じて。

 私の探偵だけではない青春は、まだはじまったばかり。


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