過去ログ - 双葉杏「特別だけど、特別じゃない日」
1- 20
21: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/03/03(金) 00:36:50.55 ID:ca4PDaJt0

「……なんてね」

 誰に聞かせるでもない呟きだ。私は小さくかぶりを振ると玄関へ。
 靴を履き、カッパを着込み、マンションの扉に手を掛けた。……しかし、ドアノブがなぜか回らない。

「んんっ?」

 いや、違う。既にドアノブは回ってたんだ。だからこれ以上は回せない。
 私が怪訝に思うより早く、ガチャリと扉は開かれた。ドアノブを掴んだままいた私は、そのまま引っ張られるように外へ出て。

「おっと!」

 ポンと、体を抱きとめられた。それから濡れた衣服の匂いがして、ずっと聞きたかった声がする。

「なんだ、危ないじゃないか」

 そう言って笑うアイツの顔を見上げる私は、きっと呆けた顔をしてたハズだ。
 ……それこそ昼間夢で見た、あの恥ずかしすぎるバカ面でさ。

 だから私はそのまま頭をアイツの体に押し付けて、自分の顔を隠したんだ。
 だって今、どうしようもないほどのにやけ顔になってるのが自分自身で分かるから。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
31Res/21.01 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice