10: ◆/BueNLs5lw[saga]
2017/03/07(火) 14:30:53.24 ID:ibuo0eth0
閉ざされている扉のドアスコープにぎりぎり確認できる位置で立つ。
あちらからは見えるという状況があまり好きじゃない。
というか見られているという感覚が単純に苦手。
ロックが外されて、中から男の子が出て来た。
背丈は私よりもうんと小さい。可愛らしい。
私は鼻を抑えた。
「……ッ」
「あの、お姉さん? どうかしたの?」
奇跡的に、声までウイスパーボイスである。
ダメだ、動悸がしてきた。
やばい。犯罪者ってきっとこの高揚のまま、児童を連れ去っていくんだろう。
私は、違う。
落ち着け。
目の前の少年が怯えていたので、安心させようと笑顔を繕う。
余計に怯えていた。
酷いね、少年。
「あの、お兄さんいますか?」
たぶん、弟さんなんだろう。
そう思い彼に尋ねると、
「兄はいません」
「あ、いつ頃戻るか分かる?」
引きこもりのくせに、外出とはいい度胸じゃんか。
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