36: ◆/BueNLs5lw[saga]
2017/03/08(水) 23:17:40.07 ID:EcCOZv0t0
「おそ、襲わないで……」
「し、しないから」
同性だと分かったのに、欲情するわけない。
瞳を潤わせるヨシツキに呆れかけて、今一度彼のことをまじまじと見つめた途端、
鋼のようだった心臓が、ミンチ肉みたいに押しつぶされる。
「あれ……」
「ミラ?」
今しがた初恋が奇妙な終焉を迎えた、はずっだったのに。
「でも……僕、ミラみたいな、女性なら……そうだよね、本当に男になってしまいたいと思うよ」
小さな口から呟かれた台詞に、私はやはりときめいていた。
あろうことか、男だと言い張る少女に。
「う……」
落ち着け。
状況についていけない。
「照れたの?」
「ち、違う! 変な事言わないで」
「変でもいいって」
「もおっ」
ヨシツキがにこりと笑い、目元を拭った。
その笑顔がたまらない。
ショタでないとしても。
「なんで、そんなに可愛いのよ……」
彼は遺憾だとでも言いたげ。
私も私だ。
気持ち悪いなんて思えなくて。
思ってしまえば楽だったのに。
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