過去ログ - いろ鬼 (オリジナル百合)
1- 20
41: ◆/BueNLs5lw[saga]
2017/03/10(金) 23:52:07.73 ID:zZQmUfUl0
「逆説的な理由だね」

「うん……っていうのも、小さい頃に何度か両親に女の子らしく振舞うよう強要されたことがあってね、数か月くらい経った頃から……僕、どんどん変な行動をとる様になったらしいんだ。頭を壁に打ち付けたり、夜中に家中を歩き回ったり。最初は悪霊でも出たのかって話しだったんだけど、ついに母さんを殴ったんだ。その時の記憶は覚えてる。怖いくらいに。どうしてか、このままだと、僕は死んでしまうって思ってしまったのかもしれないね。身体じゃなくて、心がボロボロになっちゃうって。心が死んだら、もう楽しくないよね」

私は率直に、ヨシツキは女の子として生きた方がもっと幸せな人生が待ってるんじゃないかと思った。
大多数が彼に対してきっとそう思うし、願う人もいるかもしれない。
実際、いたわけだ。
なのに彼はあえて、自分と相容れないものを自分だと言い張っている。
それはつまり、自分を否定して、宇宙空間にでもいるような自分こそが自分だと言っているようにも聞こえる。
違うのかしら。
そういった問題には疎いから、よく分からない。
仮に、彼が女の子として生きる人生を捨てたのであれば、その女の子は可哀相なんだろうか。
そうであるかないかは、ヨシツキ自身が感じ考え結論付けるべきだろう。

「羨ましい……」

私は思ったことを口に出していた。

「嘘だぁ」

彼は笑った。
子どものような無邪気さがあった。

「そんな生き方をしてみたいもの」

「まだ、僕は生きている実感もないよ。だって、認めたくないけど、未だに僕は男であり女なんだもの。この二つは本当の意味で決着はついてない。だから、生き方なんて分からない。分かったのは、僕は女じゃなくても死にはしないけど、生きた心地はしないってこと」

ほんの少しだけ、見えてきた。
彼の影。
ほんの少しだけ。





<<前のレス[*]次のレス[#]>>
49Res/42.29 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice