過去ログ - 【ガルパン】マタニティ・ウォー! 最終章
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22:KASA[saga]
2017/03/18(土) 21:35:27.42 ID:GXLR8hmSO
 ダンッ!!!

「ひっ……」

 と、隣でエリカさんの喉が鳴る。お父さんの、それまで一定だった柔らかい視線さえもが、いくらか緊張して、お母さんに向けられる。
 お母さんは、その激しい行動には似つかない、妙にたんたんとした声で──

「あなたのお母様の憤りと、ようやく少しだけ、理解した」

 呟いて、それからすっと立ち上がる。足を踏み出し、テーブルを回り込んでお母さんが私達に接近してくる。
 エリカさんと私はもう、ただただ、硬直したカエル。

「しほさん」

 と、お父さんがポツリ。あ、お父さんは私達をかばってくれてるんだ……とぼんやりした頭の片隅で気付いてお父さん大好き。
 お母さんはお父さんの言葉には何の反応もみせず、とうとうエリカさんのすぐ側まで。怯えて見上げるエリカさんに向けて、お母さんは一言、

「たちなさい」

 エリカさん、腰がぬけてるんじゃないかな。

「は……い……」

 エリカさんはなんとか頑張って、生まれたての小鹿みたいにぷるぷると立ち上がる。委縮して縮こまった両手を胸の前に、お母さんと対峙。
 そんな二人の様子に、──みほのほっぺたに、かつての衝撃がよみがえる。
 何か月も前、学園の戦車倉庫で、お母さんからうけた強烈な一撃。
 お母さんやめて──、と自分もたちあがりそうになった、その時だった。

 ぺんっ
 
 お母さんの右の手の平が、エリカさんの頬に当たった。当たった……叩いた? 添えられた? どっちつかずの、曖昧な接触。
 接触の瞬間、エリカさんの身体は電気に感電したみたいにびくっと跳ね──
 そしてお母さんはエリカさんをやんわりと、安心させるように、ゆっくりと抱きしめていったのでした。

「へ、、、あ、……え……?」

 眼を白黒さえるエリカさん。
 お母さんは、そのままエリカさんには何も言わず、

「みほ」

 と私の名前を呼び、それから少しだけ厳しくした声で──

「まほに電話をしなさい。家に──来るようにと」

 付け加えて、

「ヘリを使って、直ちに、今すぐ」

 私の心臓が、きゅってなった。


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