758:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 17:52:44.48 ID:ha7ZcpN9o
もちろん、自殺まがいの無謀な投身ではない。
そのダイブは戦闘の趨勢に合わせてのもの。
劣勢の中に挽回を図り、ルカリオは猛然の拳を顎先へと放っている。
だが、バシャーモは応じる!
特性は“かそく”、継戦のほどに身に帯びた熱と速度を増していくのが赤の戦鳥。
メガルカリオの腕を絡めとり、勢いを殺さずに鋭く投げる!
『シャァモッ!!!』
『ッ…!!』
勢いはそのまま、メガルカリオはビル上に設置された巨大な広告塔へとその身を叩き込まれている。
ルカリオの体表は鋼の硬度、その程度で重傷を負うようなことはない。だがもちろん、すぐには動けない。
その隙を見計らい、バシャーモは落ちていく梨子へと目掛けて大跳躍。
身は真横、ビルの壁面を走って主人の華奢な体を丁寧にキャッチ!
梨子「あ、ありがとう…バシャーモ…」
『シャモ…?』
(無理をしてないか)と問い。
抱きかかえた主人のか細い肩は恐ろしさに震えていて、バシャーモは思わず慮ってしまう。
梨子はそんな気遣いに困ったような苦笑いで返し、気心の知れたポケモン相手に建前は使わない。
梨子「うん…無理は、してる。でもやっぱり、私はなにがなんでも曜ちゃんを助けたい。今改めてそう思ったの」
本気で落とすつもりなら何も言わずにやればいい。
落とす落とすと何度も宣言して、まるで避けてくれと願うみたいに。
その癖、いざ梨子が落ちれば反射的に掴もうと手を伸ばして。
そんな煮え切らなさが曜らしくて、張り詰めた中にも少しだけ面白い。
ウツロイドの洗脳は本心を暴き立てる。
曜の叫び、お前が憎いという嫉妬心はきっと本当に抱えているもので、だからこそ、それでも手を伸ばしてくれたことがたまらなく愛おしい。
梨子に死んでほしくない、それもまた曜の本心なのだ。
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