過去ログ - 最初のファンから、駆け出すキミへ(小日向美穂If小説)
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5:名無しNIPPER[sage saga]
2017/04/03(月) 00:18:31.41 ID:3RRQd8Ra0
少しだけ前の話だが、高校に上がってから美穂は部活に入らずにアイドル養成所に通い始めた。緊張しぃな彼女は人前で何かをするのが人一倍苦手で、中一の合唱祭の時の話は今でもタブーだ。そんな彼女がアイドル養成所に通うと聞いた時には笑ってしまった。
そしてその時初めて美穂を本気で怒らせ、俺は美穂が中学生になる頃まで度々言っていた「あいどるになりたい!」は今でも表に出さないだけでまだ思い続けていたのだと知り、本気で謝り何とか許してもらえた。
アイドル、それはとても、とても多くの人間を笑顔にして、感動させて、愛される、現代の偶像と言っても過言ではない存在だ。
美穂が昔から人の笑顔が見るのが好きだったのは俺がきっと一番知っている。
そしてその彼女が変わりたいと、アイドルを目指す気持ちの強さもきっと。
以下略



6:名無しNIPPER[sage saga]
2017/04/03(月) 00:19:12.83 ID:3RRQd8Ra0
冬の冷え込む日、部活が終わり家に向かう長い上り坂に入る時美穂とはち合わせた。
「ん、今日も養成所?」
「そうだよ、レッスンに夢中になってたら遅くなっちゃった。」
「もう日も短いんだし帰り遅くなったら言えよ、危ないし。」
「ありがとう、そうしようかな。」
以下略



7:名無しNIPPER[sage saga]
2017/04/03(月) 00:19:44.84 ID:3RRQd8Ra0
そして、その時は突然訪れた。
三学期の期末試験も終わり、高校は採点の為の家庭学習期間に入っていた。
「1、2、3、ステップ!レッスン、楽しいなぁ……。これで私もアイドル気分!なんて。」
美穂はメニューが終わり、他の生徒が帰ったレッスンルームで一人で自主練をしていた。そう言えば先程から先生の姿が見えない。
「すみません、小日向美穂さんですか?」
以下略



8:名無しNIPPER[sage saga]
2017/04/03(月) 00:20:11.49 ID:3RRQd8Ra0
上り坂の入口でまた美穂とはち合わせた。
「あ!あっちゃん!!」
いつにも増して機嫌が良いらしく、立ち漕ぎでこちらに向かってくる。
「ん、お疲れ。どうしたんだよ、随分ご機嫌みたいだけど。」
「私、アイドルになれるよ!なれるんだよ!!しかも美城プロ!!」
以下略



9:名無しNIPPER[sage saga]
2017/04/03(月) 00:20:38.83 ID:3RRQd8Ra0
息も整わないままベッドに倒れ込む。
「なんで俺は……くそっくそっ!!」
美穂の夢が叶うのに、それは自分に取っても嬉しい事の筈なのに、あの瞬間、悲しくなった自分が許せなかった。それどころか自分は。
「くそ!!」


10:名無しNIPPER[sage saga]
2017/04/03(月) 00:22:07.25 ID:3RRQd8Ra0
翌日の朝、美穂が家を出ると淳は家の前で待っていた。
「あっちゃん……」
「その……昨日はごめん。俺、ちょっと混乱してた。」
「ううん、気にしなくていいよ。」
いつも通り並んで走る二人に会話は起きなかった。
以下略



11:名無しNIPPER[sage saga]
2017/04/03(月) 00:22:35.52 ID:3RRQd8Ra0
日中の授業も午後の部活も、淳は上の空だった。グラウンドで明日の朝練の為に塩カルをまいている時、先輩に尻を蹴飛ばされた。
「いたっ!?」
「坂門ぉ、お前今日どうしたんだよ。なんかあったろ。」
「……はい。」
三年の先輩は微笑むと、ぽんと肩を叩いた。
以下略



12:名無しNIPPER[sage saga]
2017/04/03(月) 00:23:03.48 ID:3RRQd8Ra0
そしてその日も、上り坂の入口で美穂とはち合わせた。
「あっ……」
「美穂……」
「なぁ――」何を言うかも決まらず言いかけた声は重なった声に消えた。
「ね、ねぇ。明日放課後、一緒に養成所に来ない?」
以下略



13:名無しNIPPER[sage saga]
2017/04/03(月) 00:23:47.81 ID:3RRQd8Ra0
翌日、放課後二人で電車に乗って美穂の通う養成所に向かった。高い建物と多くの店が立ち並ぶそこは、普段学校の帰りに友達と寄り道する商店街と比べて都会に感じた。
「ここだよ。」
美穂が足を止めたのは五階建てのビルだった。
「いつもここで……?」
「そうだよ。ほら、入ろう?」
以下略



14:名無しNIPPER[sage saga]
2017/04/03(月) 00:24:15.44 ID:3RRQd8Ra0
目を腫らしてて出てきた淳を見て、美穂は何も言わなかった。
「それでは、私はこれで。」
「あっ、ありがとうございました!……あっちゃん、私達も帰ろうか。」
「……おう。」

以下略



15:名無しNIPPER[sage saga]
2017/04/03(月) 00:24:43.22 ID:3RRQd8Ra0
春休みも残すところ数日となった夜、美穂から淳にメールが届いた。
『明日の昼、熊本空港から発ちます。』
淳は返信せずにメールを閉じた。


以下略



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