過去ログ - 翔鶴「林檎のような提督」
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41: ◆MNMy.fqCRg[saga]
2017/04/11(火) 23:13:02.75 ID:9tTtTf+ZO
提督「ここは・・・どこだ?」

目覚めた時には病院に居た。
見渡すと僕のように大怪我をした人が横たわっていた。
机には両親が置いていった果物と書類、そして熱で溶けたペンダントが置かれていた。

提督「大鳳は無事だ。そうだ無事のはずだ」

死んでいるという事実を押し殺し、体に刺されていた器具を取り外し前へと進む


「何だあの人」「怖いわ」「きっとこの前の怪我人だろう」「可哀想にな・・・」

提督「(やめてくれ。そんな目で僕を見ないでくれ)」

無理もない、僕の顔は大火傷のせいで包帯が顔全体に巻かれているのだから。
僕はナースステーションに向かう
しかし、目の前を白の軍服を着た老人と迷彩服を着た男二人によって妨げられる。

提督「・・・なんです? 僕は急いでいるんで」

「おめでとう、君は少佐に昇進した。十月から提督業をやってもらう」

提督「提督? そんなものは要らない、僕の大鳳に会いに行くだけだ」

僕はその人をすり抜けようとするが肩を掴んできた。

「・・・大鳳は戦死したよ」

提督「死んだ? 嘘つけ! あの時はたまたま仮死状態だっただけで生きてるはずだ!!」

病院中に響きわたるほどの声を上げた。
すると迷彩服を着た男が箱のような物を抱えながら近づく

「これは大鳳の遺骨の入った骨壺だ。君の元へ渡したほうが彼女のためだ」

提督「嘘だ、嘘に決まってる!!」

その箱を開けて中身を確認する。
中には白い骨が見えた。頭の中が真っ白になった。


「君は高射砲で爆撃機、戦闘機を撃墜した。その武勇を称え、君は少佐に昇進したのだ」

提督「・・・そんなこと。そんなこと聞いてねえんだよっ!!」ブンッ

「・・・」バキッ ドカッ

「なっ!? 元帥に何をなさる!」

どうやら老人は元帥だった。
すぐに両腕を掴まれ拘束される。
とても抵抗できるような力は出せなかった。

提督「お前らがもっと早く敵に気が付ければこんなことにはならなかった! 大本営ばかり守備を固めやがってええええ!!」

元帥「すまなかった」

元帥は頭を深く下げ、見本のような謝罪をする。

提督「謝ってもアイツは帰って来ないんだ! ほら、僕を殴った罪で軍法会議にかけて絞首刑にしてみろや!!」

元帥「少佐!!」

元帥も声を荒げる。

元帥「彼女の夢、それは戦争を終わらせることだろう! 誰がそれを終わらせるというのだ!!」

元帥「それは君自身だ! 君がこの動乱を終わらせてみせよ!!」

そうだった。別れ際に大鳳の約束、戦争を終わらせて平和な世界にしろという約束を思い出した。
彼女は戦争よりも平和を愛していた。
そして幸せを願っていた。


提督「・・・わかりました、後で書類の手続きをします。 今度は僕みたいな人が出ないように努めます」ビシッ

僕は敬礼をして病室へ戻った。
彼女の形見である溶けたペンダントをポケットにしまい、再び遺骨を見て泣いた。
誰にも聞こえないように・・・


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