8: ◆WlH5kArGpE[sage]
2017/04/08(土) 22:11:11.94 ID:8f+Rtbzdo
茜は、卯月の疑問をせせら笑う如く、ますます激しく燃え盛る。雑巾を用意し、拭き、バケツに搾り、そうして時は刻一刻と消えていく。今は卯月も覚悟した。拭き切るより他に無い。
卯月「島村卯月、お掃除がんばります!」
ああ、神々も照覧あれ! 水溜まりにも負けぬ愛と誠の力を、いまこそ発揮して見せる。茜は、ざんぶと階段に飛び上がり、百匹の蚯蚓のように広がり流れ滴る水を相手に、必死の闘争を開始した。満身の力を腕にこめて、なんのこれしきと拭き取り拭き取り、めくらめっぽう獅子奮迅の人の子の姿には、神も哀れと思ったか、ついに憐愍を垂れてくれた。
吹き残しつつも、見事、階段の踊り場の床に、すがり付く事が出来たのである。ありがたい。茜は馬のように大きな胴震いを一つして、すぐにまた先を急いだ。一刻といえども、むだには出来ない。陽は既に西に傾きかけている。ぜいぜい荒い呼吸をしながら卯月とのぼり、のぼり切って、ほっとした時、突然、目の前に一組のユニットが躍り出た。
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