過去ログ - 水野翠「もう一つの的」
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32: ◆zNp0QpB9e.[saga]
2017/04/09(日) 22:24:27.50 ID:rA9xrPx0o

 彼女の試合を見に行ってしばらく日が過ぎた後、事務所に持っていく土産を物色していたら、彼女から電話がかかってきた。

 『もしもし、プロデューサーさんですか?』

以下略



33: ◆zNp0QpB9e.[saga]
2017/04/09(日) 22:26:10.37 ID:rA9xrPx0o

 『それで、アイドルの話なんですけれども』

 来た。さて、どう来る。どう対処すべきか。

以下略



34: ◆zNp0QpB9e.[saga]
2017/04/09(日) 22:27:26.36 ID:rA9xrPx0o
 
 自分が言った後、水野さんはしばらく沈黙した。それから、

 『プロデューサーさん、私は……本当にアイドルになれるのでしょうか? アイドルとして、ファンの前に立つ事ができるのでしょうか?』

以下略



35: ◆zNp0QpB9e.[saga]
2017/04/09(日) 22:28:01.82 ID:rA9xrPx0o

 『それでは、弓道と同じですね』

 「え?」


36: ◆zNp0QpB9e.[saga]
2017/04/09(日) 22:31:40.29 ID:rA9xrPx0o

 『弓道も同じです。最初の下積みは、弓を使わないんです。ゴム弓を使うんです』

 「ゴム弓?」

以下略



37: ◆zNp0QpB9e.[saga]
2017/04/09(日) 22:33:39.44 ID:rA9xrPx0o

 溜息が零れ出た。そこまで調べられているとは。
 確かに言われてみれば、アイドルも弓道と同じだ。多大なる練習を積み、事務所から声がかかって、ようやくデビューできる。

 「……そう考えてみれば、同じだな。弓道も。アイドルも」
以下略



38: ◆zNp0QpB9e.[saga]
2017/04/09(日) 22:34:08.36 ID:rA9xrPx0o

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39: ◆zNp0QpB9e.[saga]
2017/04/09(日) 22:37:57.98 ID:rA9xrPx0o

 再び二人と話をする。一人がカラオケに行きたいと駄々をこね始めたので、三人で行く事になった。
 貰ったチケットの期限が切れそうだからという事だが、本当なのだろうか。最初はなぜか自分が歌わされる事になった。

 「やっぱり翠の歌って上手いよね〜、本当にアイドル行けるんじゃないの?」
以下略



40: ◆zNp0QpB9e.[saga]
2017/04/09(日) 22:39:32.06 ID:rA9xrPx0o

 「だけどさ、そろそろプロデューサーさんに連絡取らないといけないんじゃないの?もう結構経ってるでしょ?」
 
 そうだ。いつかの電話で2ヶ月しかこっちにいないと言っていた。

以下略



41: ◆zNp0QpB9e.[saga]
2017/04/09(日) 22:41:23.33 ID:rA9xrPx0o

 「みんな最後には自分で決めろ、か」

 確かにアイドルをやるのは自分なのだ。ならば、最後には自分で決めないといけない。

以下略



42: ◆zNp0QpB9e.[saga]
2017/04/09(日) 22:42:26.78 ID:rA9xrPx0o

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43: ◆zNp0QpB9e.[saga]
2017/04/09(日) 22:44:03.83 ID:rA9xrPx0o

 久しぶりの東京の地で自分を待っていたのは、圧殺されそうな仕事の数であった。

 だが、愛知で得る物はあった。

以下略



44: ◆zNp0QpB9e.[saga]
2017/04/09(日) 22:45:03.87 ID:rA9xrPx0o

 ----どうやら、希望は見えてきたようだ。


45: ◆zNp0QpB9e.[saga]
2017/04/09(日) 22:46:25.75 ID:rA9xrPx0o

 
 愛知から電車で数時間。東京は親や親友の付き添いで何度か行った事はあるが、一人で来るのは初めてだ。

 相も変わらずビル、ビル、ビルのコンクリートジャングルで、なぜか安心してしまう。
以下略



46: ◆zNp0QpB9e.[saga]
2017/04/09(日) 22:47:53.40 ID:rA9xrPx0o

 ついに事務所の前まで来てしまった。もう戻れない。先に進むしかない。

 「すみません……○○プロデューサーに通していただけますでしょうか?」

以下略



47: ◆zNp0QpB9e.[saga]
2017/04/09(日) 22:49:16.02 ID:rA9xrPx0o


 「プロデューサーさんに来客ですってよ」

 「来たか」
以下略



48: ◆zNp0QpB9e.[saga]
2017/04/09(日) 22:50:57.08 ID:rA9xrPx0o

 「さて……じゃあそろそろ、答えを聞かせてもらおうかな。」

 「プロデューサーさんは以前、弓道とアイドルは似ている。海よりも深く、山よりも高い繋がりがある。そう言いましたよね」

以下略



49: ◆zNp0QpB9e.[saga]
2017/04/09(日) 22:52:07.74 ID:rA9xrPx0o

 「決まりだな」

 「それでは!」

以下略



50: ◆zNp0QpB9e.[saga]
2017/04/09(日) 22:53:14.82 ID:rA9xrPx0o

  それは一瞬の出会いだったが、今でも弓から放たれる矢の如く、鮮烈に思い出す事ができるだろう。
  当時弓道の事で悩んでいた自分に、もう1つの事を考える余裕ができたきっかけを作ってくれた人だから。


51: ◆zNp0QpB9e.[sage]
2017/04/09(日) 22:54:29.81 ID:rA9xrPx0o
おしまい!
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52:名無しNIPPER[sage]
2017/04/10(月) 06:49:41.38 ID:Onzvjai+O



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