225: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/06/08(木) 00:47:29.11 ID:SDlwEhAJ0
扉の向こうには現実で見ることはないエクスの眼前に光景が広がっていた。前方には今入ってきた扉と同じ石でできた祭壇らしきのものがある。台形型で恐らく四方から登れる階段があるように見えた。そして、その祭壇の上部には光り輝くクリスタルが浮かんでいる。
必要なアイテムと言われたものは、どう考えてもそれぐらいしかない。問題はゲームの世界でよくいるボスがいるかいないか。ステータスといったものが存在しない以上、自分はゲームの中で強くはならない。これまで出てきた敵も情けないながら倒したというのに、更なる強敵となれば、考えたくもなかった。
クリスタルの明るさで視界は確保できている。松明を置き、武器を装備しなおして祭壇へと向かう。緊張が思考を支配し、現実と同じように手から汗がにじむのを感じる。祭壇手前まで来て左右を見回してみたが、何かがいる様子はない。
「うっし」
静けさに呑まれそうになり、声を出してから階段を上がっていく。その先にあるクリスタルを無事確保できるのか。更にこの命がけの茶番を続けなければいけないのか。いろいろな思考が浮かぶ中、1つ、理由のない確信があった。
この世界のことを、理解できているという感覚が、エクスの中に存在し始めていた。
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