226: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/06/08(木) 01:43:32.10 ID:SDlwEhAJ0
ここのところ、天候が大きく荒れることのなかった拠点周辺だが、今日の限って大雨が続いていた。視界は悪く、濡れたい服は体力を奪う。こんな日に活動すべきではないが、だからといって悠長にやっていられない状況が続いている。
ハンターは大雨の中で佇んでいた。いつも通り独りで単独行動は、アクスマン処理前から、つまりずっとそうしていた。
煙草でも吹かしてみたいところだったが、生憎の大雨のおかげで火は意味をなさない。既に身体はずぶぬれで、今更雨宿りする意味はない。ゆっくりと、近くにあったコンクリートの瓦礫で、腰かけられそうなところに座る。
見上げたそこには灰色のカーテンでも見たような空模様。終始ほの暗いのが、今日は続くことを思わせる。気が滅入る、そう思ってからチェーンソーを起動させた。遠くから変異体交じりの一団が見える。動きの感じからすると、統一性があるようには見えない。自分に向かって、単調に歩いている。
エンジンを吹かし、力強い動きで斬りこんでいく。だが、一瞬見せた動きでハンターも素早く攻撃を取りやめると、自分の居た所にジャンピングゾンビが左右から飛びかかってきた。
「ち、コマンダーってことは。ソードマンあたりか」
視界が利いて、かつ広い場所ならやれなくもないが、楽しい楽しいパラノイアとの戦いの前に負傷する可能性は負いたくなかった。
「ま、大将に言っとけや。放浪者と同じようなやつが、まだいるってな」
それに、自分の戦闘力を見せる訳にはいかなかった。未知であることは誰にとっても脅威だが、知ることが武器のコマンダーゾンビには、出来うる限りの手の内は見せないことが、処理する為の近道だ。
相手の思考が読めないと考えられるソードマンとの接触で助かったな、あえて退避を選び、危機的状況が去ったわけでもないにも関わらず、ハンターはそんなことをのん気に考えていた。
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