365: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/08/10(木) 04:01:30.61 ID:HHdTI7qS0
「スラ、いるんだぞ?」
「(いるよー)」
スライムの為に用意された手作りの小屋の中は明かりはなく、外も明かりが失われた今、ほとんど暗闇と言っていい状態だった。
迫る戦いは周知されていなくても、拠点を包む空気でわからせるものだ。それは、幼さを残す2人が、敏感に感じるのは当然の事だった。いつもは仲良く話す2人が、ただ静かに側にいるだけだ。
「(お姉ちゃん)」
スライムのひんやりとした手が、探りながら動き、触れた藍の手に乗せる。暗闇の中で、お互いを認識できるのはその感触だけだった。
本当の姉妹ではけしてない。作られた人造の生命、変異により種さえも変わった生命、それはどちらも交わることはない。それでも、前からそうだったと言える絆が2人にはある。
「ちゃんと帰ってくるぞ。安心するんだぞ」
「(うん…)」
優しく手が握られる。それに応えて藍も握り返す。暗闇の中、2人はただ互いを感じていた。
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