397: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/08/28(月) 17:11:12.97 ID:zF9F496A0
深夜。拠点でもこの時間活動しているのはEVEと、今日の夜間警備に配属されたメンバー以外は休みを取っている。その自室で、放浪者は静かに探索へ出る為の装備を暗闇の中で整えていた。暗闇に射しこむ、わずかな月光に照らされる彼の表情は、いつも通りに見える。
装備が整い、彼はその明かりを下で、滑らかにメモ用紙にペンを動かす。必要なことを書き終えて、ペンに蓋をして静かに机の上へそれを置く。
振り返ると、自分のベットで横になる相棒、山中の姿があった。自分のベッドの方には、フェアリーがベッドの上、風虎がその下で眠っている。惨劇後の世界には似つかわしくない。穏やかな光景がそこにはある。
静かに目を閉じて、ここに来てからのことを反芻する。早いのか遅いのか、一年半以上の月日がたった今、ようやっと都市をゾンビの手から解放するという目標に、手が届く状態になった。だが、それもパラノイアという障壁により、どうなるかわからない状況だ。
もちろん、人的被害や都市機能の破壊を考慮しなければ、倒すことは不可能ではないと言えるだろう。しかし、それらは、文明復活という目的に相反するものになる。自分達の否定であり、そして拠点という勢力の力を、失わせてしまう結果をもたらす。
目を開け、椅子から立ち上がり、この困難を処理するという決意は、もはや不変のものとして、彼は外へ出る。
「……信じていますからね」
「…当然だ」
メンバーを、仲間を、全てを。守ることに彼は躊躇などしない。
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