420: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/09/08(金) 04:17:19.25 ID:r7q2dtj80
ジープが都市の中を疾走する。あれだけゾンビを処理してきたというのに、バリケード周辺に近づくと、それこそぞろぞろと姿を現している。まだ、変異体の姿はないのは、罠か、それとも温存か。
「ふん、正面を突っ切る。うまくやれ!」
「言われなくたって!」
まだ、機関銃の火は吹かない。移動する道中、何かのトラブルがあった時に構えてはいた。しかし、今はまだ使う時ではない。メインのバリケード破壊時の防衛、そこが使用するメインのタイミングだ。だから代わりに、ジープに積んでおいたサブマシンガンを井門は持ち、その弾頭を最も数が多いゾンビの群れに向かって流し込んだ。
倒すことではなく、数を減らすことが目的である以上、精密な射撃はしていない。火線をばらまき、とりあえず当たればいいという動きだ。ここにある火器を複数で、それも同時に使わなければ今こちらに向かっているゾンビの群れは、止められることはない。
「(間違ってもアクスマンなんぞと格が違うってことだな)」
使えるゾンビ(コマ)に限度があったとしても、それでも一度にこの量を操れはしないだろう。アサルトライフル1丁、兵士1人で抑えられる時点で十分、どうとでもなるように彼は思えた。
「井門、揺れるぞ。捕まれ!」
正面は明らかにゾンビの群れもなく、移動するのに適している。にも関わらず、佐田は狭い路地の道をスピードを出したまま左折した。車体は慣性で大きく左に寄ってからその路地の中へ入る、捕まりはしたものの、身体を車体に押し付けられる感覚はいい物ではない。
「できればもうちょっと早くお願いしますよ!」
「ふん。出来るならやっている!」
井門は体勢を立て直し、路地に入ってこようとするゾンビに向かって、また弾丸を放つ。強襲班の突入、そしてバリケード破壊の時間を、この消費と等価にいくら手に入れられるのか、そんな思いを抱いて。
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