46: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/04/20(木) 03:14:17.51 ID:qWb48Dj10
「…新しい超能力者か」
『そのようだね…。場所を教えていいかの確認だよ』
DJフレンドからの緊急入電が、夜に入った。フレンドの勢力にPCPにより生み出された超能力者が訪れている。そして、彼等の周囲はかなり危険な状況となっていることも知った。
この通信もビジョンの能力を使ってのもので、盗聴の心配はないが、それでも以前の逃走時にそれ自体を感知されたことがあった。それに、いかに強力な超能力を持っていたとしても、集団で襲われてただですまないのは自明の理。この状況下で教えた後にその超能力者が捕まってしまえば、拠点の危険性はパラノイアだけでは済まなくなる。
しばらく熟考し、放浪者は口を開く。
「…教える必要はない」
『……。そうだね、それは仕方のない判断だよ』
「…あぁ、俺が直接迎えに行く」
2人分の息を呑む音が聞こえた。DJフレンドと、回線を繋ぐビジョンからだ。
「君は何を言ってるんだい。そんな簡単に来れる場所じゃないんだよ、それに君の拠点だって君が抜ける訳にはいかない」
「…フェアリーの超能力を使えばいける。フロートボードをあいつの超能力を浮かせれば、理屈的に少ない推進力と消費電力で移動できる。以前のスカイミッション時に、フレンドのいる地域を超えた所まで移動できているのと、そちらの状況も解消しなければいけない」
いつも通り淡々としていた。誰が聞いても、無茶でしかないことだが、彼には出来るという確信を持っている。
「そこまでしなくていいんだ。君には君の守るべき勢力があるだろう?」
「…それならフレンド、お前達の勢力も、俺には守るべきものだ。それに、この話を聞けばフェアリーは飛び出していくだろう、それを避ける為には必要なことだからな」
もちろん、そんな悠長な時間があるかはまったくの別だ。したいことなのか、しなければならないことなのか。放浪者はわからない人間ではない。
しかし、教えないことでエコーがDJフレンドに何をしでかすかもわからず、教えたとしても先ほどの危険性が伴う。エコーが拠点に紆余曲折を経て拠点にたどり着こうとするのは確かで、更にフェアリーがこの話を何かで聞いて拠点からいなくなられても戦力の喪失になる。
それならば打てる最善が、フロートボードを使ってエコーを迎えに行くこと。それが彼の結論だった。
「…たどり着き次第、フロートボードの充電を行い、その間に情報提供者及びWWPの問題を可能な限り解消。当日中には拠点に帰還する」
『ひひひ。放浪者の旦那、いくらなんでも無茶が過ぎる』
普段なら口を閉じているビジョンが、思わず釘をさすのも聞かず、このまま任務のサポートを頼むと彼は告げた。
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