過去ログ - これから日記を書く 七冊目
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55: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/04/21(金) 19:24:56.71 ID:8XMKiyFm0
闇夜に紛れて、未確認の飛行物体が弾道のように上空を進んでいく。それを目撃する者はいなかったが、それでも耳を澄ませば、風を切る音は聞こえたかもしれない。

『フレンドの居る場所は覚えてル?』

大まかな位置は放浪者も覚えているが、当然うろ覚えになっている記憶だ。そのままアリスに、場所の誘導を指示する。

まだまだ相変わらず、夜間帯のこの移動は寒さが伴う。それでも幾分なしなのは、フェアリーが抱き付いた状態で一緒に航行しているからだろう。今回の無茶な任務にも、彼女は返事1つで同意した。そこにはもちろん、散り散りになった新たな仲間に会えるというシンプルな理由だけ。まだ、複雑なことを統合して判断できるようには、戻れていないのだ。

今も、早く会えないかなとのん気な様子がその証拠だろう。もちろん、放浪者は誰にであれ対等な立場として話をする。向かう先の危険性なども説明していて、この状態なのだ。その分自分が気を引き締めるしかないかと、放浪者は心の中でぼやく。

『もうそろそろ、見えてくると思うヨ!』

ナイトビジョン越しに、暗闇の地上に目を凝らす。確かに前見たような工場地帯が遠くに見え始めた。

「…加速する、しっかり掴まれ」

グンとスピードをフロートボードは上げ、少し慌てた声がフェアリーはあげた。


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