71: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/04/27(木) 02:13:05.34 ID:DSCeJHgm0
世闇の中を4人は進む。当然、WWPの兵士は周囲にいる、場合によっては放浪者が持ってきたナイトゴーグルのように、闇に対しての装備を備えている可能性もあるだろう。そういう装備を自分達は揃えられないのだから、一ヶ所に留まってやり過ごすことが賢明ではある。
だというのに、放浪者の足取りに迷いはない。3人にとって内心ヒヤヒヤする場面があって、それでも放浪者は問題ないの一言で突き進んでいき、見つからずに済んでいる。今のところは。
相対した時から3人は、それぞれに放浪者に対して気圧されていた。そして、この振る舞いを見るだけで、有利な状況で3人で襲い掛かっても、勝てる想像が出来ない。彼等もここまで生き延びてきた生存者、それなりの戦いの経験を積んでいる。その上での話だ。
「…先輩、大丈夫だと思います?」
その深層的な恐怖感は、心配という形で表面に出た結果、香坂と名乗った少女が小声で問う。その瞬間、放浪者は左手を上げる。即席のハンドジェスチャーで止まれ、という意味だ。
次に、3人を一回ずつ指差して、その後、近くにあった瓦礫を指差した。これはそのまま、指定の場所に隠れる為の指示と、最後に口元へ人差し指を当てた。これはプラス、絶対にしゃべるなという意味だ。3人――香坂だけは焦ったように――は素直に隠れる。
鋭い眼差しで指示をした放浪者のこともあり、3人とも顔を見合わせて誰一人として口を開かず、ジッと彼が戻ってくるのを待つことにした。
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