84: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/04/28(金) 18:34:21.26 ID:EqPZOuhP0
「どちらにも嘘はないよ」
それに答えたのは、DJフレンドではない。その後ろにいたエコーだった。会話にいきなり入ったこともあり、全員の視線がそこに向く。
「………。言葉(おと)に嘘はつけない。言っても信じないだろうけど、僕は音が操れる。だからわかる」
「音を…、操る?」
放浪者が危険を感じたら逃げろと言った相手が、恐らくエコーにだったのだろうと香坂は思い出す。妙なことを言うと不思議には思っていたことは、疑問へと変わる。
「……。信じるかは任せる。僕と、そして後ろにいるフェアリーは超能力者。WWPのプロジェクトで生み出された。力のせいで、記憶が曖昧で場合によっては肉体が変形した仲間もいた。僕達は、人間がそんなに好きじゃない」
醒めた様子でいるエコーと、震えながらこちらを伺うフェアリー。エコーの超能力の真偽ははっきりしない、しかし、相変わらず浮いているフェアリーを見れば、嘘だと切り捨てることも難しい。
「それに、僕はフレンドの仲間じゃない。フレンドに超能力者の情報がないか、聞きに来たんだ。今はこういう状況だから、協力してる」
それだけ、と呟いてエコーはまた俯いて目を閉じた。言葉通りなら、音を捉えて危険を感知しようとしているということになる。無言の間が続いてからしばらくして、香坂が口を開く。
「…。こちらも、この状況が終わるまでは協力します。ただ、何かあれば自分達は逃げます。それでいいですよね。先輩」
「そーだな。大倉もそれでいいか?」
「2人がそういうなら、平気」
これで、ひとまずの問題は解消に至った。しかしまだ、WWPの脅威という大きな問題が、差し迫っていた。
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