88: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/04/30(日) 00:01:39.10 ID:e4Y5Z9kT0
陽は当に昇っている。朝特有の澄んだ冷たい空気で、放浪者は開けた窓から入るそれを肺に満たした。WWPの動きは慌ただしいが、警戒の度合いを高めたことは容易に理解できる。情報提供者と名乗っていた新井達を救出するのは当然であったとはいえ、これからの任務の難度が上がったことに心の中でため息をつく。
もちろん、だからといって放浪者がこれからすべき任務。ここにいる目的を知るための偵察をしない、という選択肢はそもそもなかった。新井達の件は、言ってしまえば本来DJフレンド達で解消すべき事態。だが、WWPは彼等だけでは手が余る事態で、そこにエコーが絡んできた。
隠れおおせれば、WWPのこともどうにかはなるだろうと考えていた放浪者も、エコーが絡んだことで静観できる状況ではない判断を下すしかなかった。もっとも、彼にとってはエコーという超能力者を、とりあえず一時協力させることもでき、DJフレンドの活動を正常化できるちょうどいい理由付けとは思ったようだが。
危惧しないことがなかったわけではない。突然現れた新たな武器を使うコマンダーゾンビの存在だ。昨日時点での襲撃はなかった、しかし、それがもし今日探索組や回収組あるいはハンター、もし考えづらくそして最悪を含めるなら拠点を襲うという状況も想定できる。
だがこれまでも、彼が離れたからと言ってどうにかなるような、そんなメンバーとは微塵も思ったことはない。それぞれに役割を理解し実行できる強さを持っている。ハンターも猛者の1人で、その亜種とも互角に渡り合えるだろうし、メンバーの近くで行動すること自体を守れば、その間にメンバーが救助に向かうことも出来る。なんら心配する要素はないと彼は考えている。
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