89: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/04/30(日) 00:34:36.08 ID:e4Y5Z9kT0
唯一の危惧があるとすれば、この任務、バレットパレードの補佐をしているサポートチームの負荷だ。すでにエクスはVRによるハッキングで体力を消耗しており、BAPの解析を進めるアリスが付いている。何より、生体回線とも言えるビジョンの負荷は、接続を継続している以上は避けられない。
一気にけりを付けたかった放浪者にとっては、昇ってしまった朝日は恨めしいものだが、急ぎすぎることは任務の失敗を招きかねない。危惧していることや、自身の体調のことを考えればそろそろ小休止が必要だ。1人で放浪していた時代なら、3時間以上眠れる機会があれば幸せなことだった。それを思えば今回もそれぐらいは眠れそうな算段がつく以上、気楽な任務だろう。
「…聞こえるか?」
動きを監視しながら、放浪者は呼び掛ける。少しして、間の抜けた、恐らく寝ぼけたであろうアリスから返ってきた。
『くくく、すまない放浪者の旦那。アリスの姐さんも、BAP関連で徹夜明けなんだ』
「…奇遇だな。WWPは警戒を更に厳しくしているが、むしろ奴等の任務に力を入れているようだ。生存者を探す素振りはない…。ある地点を中心に集まっている様子だが、もうこれ以上は近づけず詳細不明。言い換えれば、その間は休みがとれる。いったん、回線を切ってくれ。追って再コンタクト希望時間をオンラインに上げる」
ありがたいことだと笑うビジョンの声は、疲労の色合いが見え隠れした。この手の任務の際、ビジョンの時間的な拘束は回線を繋いでもらう以上かなり多い。放浪者には珍しく、まとまった時間休もうという提案は、乗らない理由は全くない。
海戦は途切れ、放浪者はそのままDJフレンドの隠れアジトに戻ることにした。会合の是非については、あまり心配はしていない、そんな足取りだった。
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