過去ログ - 少年「色とりどりの傘の町」
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19: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2017/04/10(月) 19:27:04.65 ID:43HseE500
どうせ何も出来ない。

少年『――違うだろ』

少年(水たまりに映った心の自分が、僕の目を見て話しかけてくる)

少年(違わない。僕には何も出来ないんだから)

少年『‘まだ’何も出来てないんだろ』

少年(これからも、だよ)

少年『悔しくないのか?』

少年(……悔しくないよ)

少年『嘘つけ。僕は皆に馬鹿にされて悔しいはずだ』

少年『少女に何も出来ないって言われて、それで良いのかよ』

少年(……その通りだから)

少年『「悔しくないフリ」や「諦めたフリ」をするのはもうやめようぜ』

少年『そのまま何も伝えずに終わってしまうのか? 謝らずに終わってしまうのか?』

少年(そんな勇気、無いから……)

少年『嘘をつくな。本当は自分が持っている事に気付いているはずだ』

少年(……)

少年『皆に、少女に、自分にさえ。馬鹿にされたまま終われないだろ!』

少年『顔を上げろよ!! 「傘無し」のままで終わって良いのか!!』

少年(……)グッ

少年『僕は怯えたまま何もできない腰抜けじゃないはずだ』

少年『今悔しさで湧き立っているその血は! 心は!! 紛れも無い僕のものだろ!?』

少年「――!!」ブルッ

少年『さあ動こうぜ。もうどうするべきか、自分で気付いているだろ』

少年(……ああ。とっくの昔に分かってた)ザッ

少年(そうだ、いつの間にか僕は自分で自分を殺してしまっていた)

少女「……なに?」

少年(ただ怯えて震えてるだけじゃ、何も出来ない……変えられない)

少年(思い出せ。どんな傘を出せるようになるのか、楽しみにしていたあの頃を)

少年(あの頃の熱意を、もう一度……!)

少年(そうだ)

少年(僕の名前は……「傘無し」なんかじゃない!!)スッ

少女「! 嘘っ……傘が!」

少年「やああああぁあぁっ!!」ブンッ!

少年(湧き立つ血と思いに任せて、無我夢中で何かを握って腕を振った)

少年(ふわりと宙に舞いあがったのは、柔らかな霧雨)

少年(それが日光を反射して、虹色に輝く)

少年(その虹色の霧雨に包まれる事で、ようやくそれが何なのか分かった)

少年「あ……」

少年「……やっと、やっと……っ!!」

少年(僕の手は、しっかりと傘を握っていた)


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