過去ログ - ヴィーネ「愛妻家の朝食」
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30: ◆n0ZM40SC3M[sage saga]
2017/04/10(月) 16:14:47.03 ID:LzjXz4kL0




ガヴはちょっと怒ったようにそう言ったが、素直に輪っかを出現させた。

座っているガヴの後ろに回り込み、膝立ちで、部分的に黒くなっているその輪っかをそっと拭き始める。

力を入れず、ほとんど撫でるだけで輪っかはきれいになっていく。

その黒いものはミルフィーユのように層をなしているらしく、はがれた薄膜は光を反射してきらきらと虹色に輝いた。

人間界には、これに似た鉱石があると聞いたことがある。

確か、雲母といっただろうか。

私がその輝きに見とれて手をとめていると、タオルに付着したその黒い汚れはいつしか空気に溶けるように消えた。

残りも終わらせようと、再び輪っかに手をかける。

ガヴの輪っかはじんわりと温かく、手を触れようとすれば抵抗をなくし、

何もしようとしなければ吸い付いてくるような、不思議な感触がした。


「んぁっ……」

「あ、ごめん。痛かった?」

「いや、大丈夫。こっちこそ変な声出してごめん」

「できるだけ優しくするからね」

「今のでいいよ。……ちょっとだけ、気持ちいいし」






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