過去ログ - 高垣楓「私を貰ってください」
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1:名無しNIPPER[sage saga]
2017/04/19(水) 23:21:50.69 ID:2z46TJqTO
 息が熱い。

 今日の今ここへ至るまでに何杯か呑んでいたお酒のせい。そしてそれに別の理由、胸へ溢れる大好きな人への想いが抑えられず高まってしまっているのも併さって、吐いて漏らす息がとても熱い。

 喉が焼けるよう。口の中が煮えるよう。唇が燃え上がるよう。

 熱い。プロデューサーへの想いに濡れた息が、とっても。



「は、……あぁ……」



 吐き出す。

 熱い息を思いきり。ぜんぶぜんぶ絞り出すように大きく、深く、長く。

 焼かれるのを感じながら、それ以上に焼こうと。煮えたぎるように燃え上がらせようと、そう思いの念を込めながら息を吐く。

 目の前のそれ。近すぎて、押し付いているせいでもうすっかり見えないそれ。開いた口の端、上下の唇でその硬さや柔らかさだけを感じられるそれ。服越しの、プロデューサーへと向けて。

 吐く。時々小さくあむあむ、と唇で甘噛むようにしながら。それに反応してぴくんぴくん、と震えるそれを感じながら吐きかける。

 吐いて。私の吐息で焼いて、濡らして、震わせる。

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2:名無しNIPPER[sage saga]
2017/04/19(水) 23:22:55.09 ID:2z46TJqTO
「……っん、す……うぅー……」



 ぴくんぴくん。びくびく。どくん。
以下略



3:名無しNIPPER[sage saga]
2017/04/19(水) 23:23:36.56 ID:2z46TJqTO
 きっと好きじゃない。べつに嗅ぎたいなんて思わない。なのに何故か求めてしまう。そんな濃い、汗にまみれて香る匂い。

 それを感じて、思わず身体が震えてしまう。びく、と震えて……そして抑えられず、身体も心も高揚してしまう。高まって、高鳴ってしまう。

 私の吐く濡れた息とプロデューサーの漏らすそれ。絡んで混ざるその二つに挟まれてすっかりじとじと湿り気を帯びた熱い空気を吸い込みながら、それと同時に漂う匂いまでお腹の中へと飲み込んで……そうして、たまらなくなってしまう。
以下略



4:名無しNIPPER[sage saga]
2017/04/19(水) 23:24:18.64 ID:2z46TJqTO
(……プロ、デューサー)



 普段よりも少し綺麗に片付いた部屋の中。前に譲ってもらって、それからこの時のためにと大事に置いてあったアロマの匂い。甘く蕩けるようなそれがたっぷりと満ちているはずのこの部屋の中で……でも、それを少しも感じない。
以下略



5:名無しNIPPER[sage saga]
2017/04/19(水) 23:25:07.86 ID:2z46TJqTO
「…………ん……む、ぅ……」



 あむ。はむ。唇で優しく、服の向こう……このネグリジェと同じ、今日このプロデューサーとの時のために用意していたジャージ。その柔らかい、中の身体の形がくっきりと浮き出るような生地の向こう側。熱く焼けたそれを、何度も何度も挟み込むようにして愛しながら思う。
以下略



6:名無しNIPPER[sage saga]
2017/04/19(水) 23:25:56.34 ID:2z46TJqTO
 始まりは一ヶ月前。大事なライブを控えた、そのちょうど一ヶ月前だった。

 大事な……絶対に成功させたい、大切なライブ。それを迎えるため、私はお酒をやめた。一ヶ月間の禁酒。レッスンに打ち込むための誓い。

 それを立てて、そうして私は打ち込んだ。毎日毎日レッスンに打ち込んで……必死になって、明け暮れた。
以下略



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