過去ログ - 鷺沢文香「過去と回顧とこれからと」
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68: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/04/30(日) 00:59:01.85 ID:JYUonGPx0
・・・
その日、私は翌日に控えた収録についての相談のため、貴方の元を訪ねました。休憩中だと聞いたので、ちょうど読み終わったばかりの本の感想も、そのまま伝えようと、心を踊らせてもいました。
「俺は、文香さんをスカウトして良かったんでしょうか。」
そんな考えは、その言葉で、一気に吹き飛んでしまいました。どうして貴方がそんなことを口走ったのか、私はこの急すぎる事態に対応出来なかったのです。
頭の中はぐちゃぐちゃになって、でも姿の見えない貴方の、苦しそうな声は、イヤになるほどほど耳に入ってきて。
「俺は、文香さんの将来を、ぶち壊して、この道に引きずり込みました。」
一つ一つの言葉が。
「それに、枕を持ちかけられたときも…本来なら、俺がスカウトしなかったら、そんなこととは微塵も関係のない人生を、文香さんは送っていた筈なんです。」
私の心を。
「取り返しのつかないことを…いや、もう実際、取り返せないことを俺はしているんです。」
ひどく、ひどく。
「恨まれても仕方ないような…。」
何度も殴りつけるように。
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