過去ログ - 鷺沢文香「過去と回顧とこれからと」
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75: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/04/30(日) 01:05:58.12 ID:JYUonGPx0
・・・
「…でも、まさか文香さんが俺の事ねぇ……。」
「……はい。」
夢にも思っていなかったことだ。速水さんは、両方のことに気づいていて、面白がっていたらしい。
「…普通に問題だよなぁ、アイドルとその担当プロデューサーが両思いって。」
「…そう、ですね。」
そうだ。今こうして同じ部屋にいることも良くないことだ。一刻も早く退室した方が好ましい。
頭の中のちひろさんが言った。『据え膳、喰わねば男の恥。』と。でも今の俺に、恥も尊厳も関係ない。文香さんのアイドル人生と、体が第一だ。
「それじゃ、文香さん、また明日。」
「…プロデューサーさん!」
背を向けた俺の服の裾を、文香さんはつかむ。
「今は…今はまだ無理でも…いつか、いつか一緒になれる日まで…一緒にいてくれますか?」
文香さんの声は上ずっていた。ちらっと見えた手は、小刻みに震えている。
これが文香さんの本心なら、俺も本心で返そう。
「うん…一緒になれるまで、ずっと一緒に。そのときが来たら、俺から、言わせてほしい。」
文香さんは手を離した。振り返った俺が見たのは、顔を真っ赤にした文香さんの姿。
「ありがとうございます…でも、その前に、私から言わせてください。…今、貴方に、どうしても言いたいことがあります。」
文香さんは一度目を閉じ、開き、目尻に少しの涙をためながら、満面の笑みでこう言った。
「…死んでもいいわ。」
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