過去ログ - ヘレン「ほたる、宇宙に行きましょう!」 ほたる「へ?」
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◆jsQIWWnULI
2017/04/25(火) 17:36:12.11 ID:lIJO8+9p0
とってもとっても暑くて、とってもとっても日差しが強くて、ずっと外にいたらすぐに死んでしまいそうなのに、いつも不幸な私でも、なんだか楽しくなって、何かをせずにはいられない。そんな季節。夏。
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◆jsQIWWnULI
2017/04/25(火) 17:37:51.35 ID:lIJO8+9p0
今日は珍しく朝起きてからお仕事のために道路を歩いている今の今まで不幸なことが起こっていません。
いつもなら、例えば、今かぶっているお気に入りの麦わら帽子が風で流されちゃったり、さっきまでかけらも見えなかった積乱雲が
ものすごい勢いで空いっぱいに広がったと思うと、私の頭めがけて雨を降らせたりするはずなのに。多分これも夏だからかな?
とにかく、今日は良い日です!
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◆jsQIWWnULI
2017/04/25(火) 17:39:04.09 ID:lIJO8+9p0
そんなことを思いながら気分よく歩いていますけど、やっぱりついつい口に出ちゃいます。
「あっつい…」
普段そんなに汗をかかない私ですら、首筋や背中から滝のような汗が流れ、おでこから滴り落ちた汗のしずくはコンクリートに着地すると跡形もなく消えていきます。
以下略
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◆jsQIWWnULI
2017/04/25(火) 17:40:03.62 ID:lIJO8+9p0
これじゃあせっかくの良い日がだめになっちゃう。気持ちを切り替えるために、今歩いてきた道を振り返ると、
コンクリートの道から水蒸気みたいにゆらゆら、ゆらゆら、空気が歪んでいました。
もちろんこの光景は砂丘でもよく見かけますし、ここでも夏に入ってから幾度となく見かけています。
だけど、今見ているそれは、なんだかいつもよりもちょっとだけゆがみが大きくて、なんだか少しだけ怖い感じがします。
ゆらゆら。ゆらゆら。
5
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◆jsQIWWnULI
2017/04/25(火) 17:41:34.12 ID:lIJO8+9p0
なかば目をそらすようにして前に向き直すと、いいことを思いつきました。
昔よくやっていた遊び。コンクリートの上にできている水たまりみたいなもの追いつくまでひたすら追いかける遊び。
今でこそ何が楽しいんだろうと思いますけど、小さい頃の私には、一人でできるお手頃な遊びとして、夏の間は欠かさずやっていたことを覚えています。
6
:
◆jsQIWWnULI
2017/04/25(火) 17:42:01.18 ID:lIJO8+9p0
「よしっ…」
私は、ちょっと暑いけれど、このせっかくの良い日を少しでも長く続けたいという思いから、
久しぶりに小さいころのように追いかけてみることにしました。
7
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◆jsQIWWnULI
2017/04/25(火) 17:42:51.02 ID:lIJO8+9p0
追いかけていると、事務所が見えてきました。
「ふう…」
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◆jsQIWWnULI
2017/04/25(火) 17:43:45.45 ID:lIJO8+9p0
私は追いかけるのをやめ、一息つきます。
炎天直下の中での小走りはさすがに疲れました。
けど、久しぶりに小さいころのように楽しく遊べましたし、暑い外から入った時の涼しいクーラーは最高に気持ちがいいことを私は知っています。
あの涼しさを考えて、うきうきしながら自動ドアを通り抜けると…。
自動ドアを通り…、通り抜け…、抜け…?
以下略
9
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◆jsQIWWnULI
2017/04/25(火) 17:44:21.10 ID:lIJO8+9p0
“このたび、弊社は倒産しました。タレント及び従業員の方々には御迷惑をおかけしました”
10
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◆jsQIWWnULI
2017/04/25(火) 17:45:04.96 ID:lIJO8+9p0
黒いマッキーで雑に書かれたそのへたくそな文字列は、クーラーなんかなくても私を十分すぎるほどに冷やしてくれるものでした。
11
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◆jsQIWWnULI
2017/04/25(火) 17:45:55.00 ID:lIJO8+9p0
私は、現実を受け入れたくないからか、しばらくの間事務所、もとい元事務所の自動ドアに貼られた紙を見つめていました。
そして、やはり納得できずに、何を思ったか、自動ドアをさっきと同じように手で開けようとしました。
ドアの真ん中にあるすき間に両手の指をいれて、両腕に力をいれて、
「せーのっ!」
以下略
12
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◆jsQIWWnULI
2017/04/25(火) 17:47:40.35 ID:lIJO8+9p0
「そこの君!」
「ひゃうん!?」
ドアを開けようとした瞬間、いきなり声をかけられて変な声が出てしまいました…。
以下略
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◆jsQIWWnULI
2017/04/25(火) 17:48:25.63 ID:lIJO8+9p0
「ち、違うんです!不法侵入しようとしていたんじゃなくて…ええっと、なんていうか、とにかく違うんです!」
「うん?」
「…ほえ?」
以下略
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◆jsQIWWnULI
2017/04/25(火) 17:49:00.06 ID:lIJO8+9p0
私に声をかけたであろう人は、立派な警察服を着ているかと思いきや、くたびれてよれよれになったスーツを着た男の人でした。
「…えっと、不法侵入?」
余計なことを言ってしまったでしょうか?あわてて誤解をとこうとします。
以下略
15
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◆jsQIWWnULI
2017/04/25(火) 17:49:39.92 ID:lIJO8+9p0
「ち、違います。私は個々の建物の中にあった事務所に所属していたもので…。でも、その事務所が破産して、それで…。」
言葉がつながりません。口の中が乾いていきます。さっきまでかいていた汗が引いていました。
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◆jsQIWWnULI
2017/04/25(火) 17:51:22.26 ID:lIJO8+9p0
「うーんと、詳しいことはよくわからないけど、とりあえず君の所属していた事務所がつぶれてしまって、今、君はフリーの状態ってことで良いよね?」
てっきり怒られるんじゃないかと思っていた私には、予想外の言葉が返ってきました。
本当に予想外でびっくりです。
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◆jsQIWWnULI
2017/04/25(火) 17:52:08.44 ID:lIJO8+9p0
「は、はい…」
なんとか返事は返せました。
「ちなみに、君はその事務所で何をしていたの?」
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◆jsQIWWnULI
2017/04/25(火) 17:52:45.80 ID:lIJO8+9p0
「アイドル!それが素晴らしい!」
男の人はそう言うと、私を頭からつま先まで見始めました。
…もしかしてこれって不審者なんじゃ…?そう思っていると、突然、その男の人が言いました。
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◆jsQIWWnULI
2017/04/25(火) 17:54:25.86 ID:lIJO8+9p0
その発言に、私は無意識のうちに強く反発していました。
「だめですっ!」
男の人は私がいきなり大きな声を出したことに驚いていました。構わず続けます。
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◆jsQIWWnULI
2017/04/25(火) 17:55:16.76 ID:lIJO8+9p0
話していると涙が出てきそうです。男の人の方を見ると、
「うーん、不幸ねぇ…」と言いながらあごをさすっていました。
「まあ、うちの事務所には関係ないかなぁ…。ま、とりあえずうちの事務所に行こうよ!」
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◆jsQIWWnULI
2017/04/25(火) 17:56:00.17 ID:lIJO8+9p0
「あ、あの…」
「いいからいいから」
話しかけてもその人は私を連れて行こうとします。強引です。強引すぎます。
以下略
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