過去ログ - 早坂美玲「これからは、ウチらのターンだ!」
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◆S6NKsUHavA
[saga]
2017/04/30(日) 21:09:50.88 ID:D+4uS1fU0
「なぁ、プロデューサー。ウチ、ホントにリーダーでいいのかな……」
「ん?」
──事務所
いつもと違って妙にしおらしい様子の美玲の声に、差し迫った仕事を片付けるためにディスプレイとにらめっこしていたプロデューサーは彼女の方を見て首をかしげた。
「どうしたんだ、急に。輝子達と何かあったのか?」
「うぇ!? い、いや別にそういうわけじゃない……んだけど……」
そう言って、美玲は慌てたように彼から目を背ける。プロデューサーは彼女の態度を不審に思いながらも、同じ姿勢で凝り固まった肩と背中を良い機会とばかりに伸ばし始めた。
早坂美玲・星輝子・森久保乃々の三人で構成されるユニット・インディヴィジュアルズの結成から半年。リーダーである美玲の半ば強引な勧誘から始まったユニットだったが、三人の個性がぶつかり合った絶妙なバランスが話題を呼んでデビューライブは大成功を収め、CDの売り上げも順調に伸びている。ラジオや雑誌などの仕事も増え、波に乗っていると言っても過言ではない。
そんな中で発せられた彼女の言葉は、状況とは裏腹にかなり弱気だ。
「アレか。思いのほか人気が出て、怖くなってきたのか?」
「ちっ違う! そんなんじゃないぞッ!!」
ニヤニヤと笑いながら敢えて意地悪く言ってみるプロデューサーに、美玲はいつもの調子に戻って否定した。しかしそれも一瞬で、ため息一つつくとまた同じようにうつむき加減になってしまう。
どうにも様子がおかしいな、とプロデューサーが若干真面目な表情に戻って声をかけようとしたとき、部屋の扉が開いて残りのユニットメンバーが姿を現した。
「おう、乃々、輝子。レッスンお疲れ様」
「た、ただいま、プロデューサー」
「も、もりくぼ、戻りました……」
レッスンから戻ってきた彼女たちにプロデューサーがねぎらいの言葉をかけると、二人は銘々に挨拶してそのままソファーにぐったりと座り込んだ。
「きょ、今日のレッスンは、いつも以上にハードだったんですけど……」
「トレーナーさん、なんだかはりきってたな……何か良いことあったのかな?」
「……ホントに疲れてるな。まぁ、ゆっくり休め」
疲労困憊といった具合の二人を気の毒そうに眺めてから、プロデューサーは改めて美玲の方へと向き直った。
「で、どうしたんだ美玲。何か心配事があるなら聞くぞ」
「あ……う……」
彼の言葉に、美玲は狼狽えたような声を出す。やはり何かありそうだなと思いながら彼女の様子を観察していると、美玲はソファで溶けている二人をちらりと窺った。その視線には、不安や恐れのような何か良くない感情が交じっているようにプロデューサーには見えた。
どうやら放置して良い案件ではないらしいと改めて声をかけようと思ったところで、美玲は突然怒ったような声を叩きつけた。
「な、なんでもないッ!! ウチはもう帰るからな!!」
「あ、おい美玲」
言うが早いか、プロデューサーが止める間もなく美玲は早足で部屋から出て行ってしまった。これは追いかけた方が良さそうだと判断し、彼はまだ凝りの残る全身をフル稼働させて立ち上がる。急げば捕まえられるかと思いながらふと視線を横切らせると、こちらを見る輝子と乃々と目が合った。即座に目をそらす乃々と、苦笑めいた表情を浮かべる輝子を見て、プロデューサーは追うのを思いとどまる。
詳しい事情は、ここでも聞けそうだ。
「……乃々、輝子。話してくれるな?」
「うぅ……ぷ、プロデューサーさんの洞察力ぅ……」
「かなわないな、しんゆうには……」
プロデューサーの圧力に負けて、乃々と輝子は事の顛末を話し始めた。
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