過去ログ - 水本ゆかり「神様の前で嘘はつけないんです」
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9:名無しNIPPER
2017/05/06(土) 12:55:07.08 ID:2lPz9rtXO
「折角の休みだし、何処か遠くに行くか? って聞こえてないか」

 新聞を読んでいたら行楽情報が載っていたので聞いてみたが、ゆかりは洗い物に夢中で無反応だ。鼻歌を交じりでずいぶんとご機嫌らしい。作ったのも俺なんだしそのまま洗い物をしても良かったんだが、後片付けくらいは私がやります、と彼女が言うものだから任せたんだ。いつかのお仕事で花嫁修業をしてからというものの、家事にすっかりはまったらしくて仕事が落ち着いている時なんかは掃除も洗濯もテキパキとこなしてくれる。いつお嫁さんになっても大丈夫なように練習したんです、とは彼女の談。実際ゆかりの家事スキルは高くてどこにお嫁さんに出したとしても問題はないだろう。尤も、俺以外のところに行くなんて許さないんだけど。

「ゆーかーりー?」

 耳の言い彼女のことだから聞こえているはずなんだけど、それでも反応しないのはひょっとしてわざとか? なんてことを考えていると、背中を向けて皿洗いを続ている彼女はリズミカルに体を揺らしている。なんだかそれが、オスを誘う求愛行動のように思えてしまって。

「やんっ♪」

さっきのゆかりよろしく、ギューっと抱きついてしまった。

「プロデューサーさん、洗い物が出来なくなっちゃいますよ」

「無視する方が悪い。さっきのお返しだよ」

「意地の悪いプロデューサーさんですっ♪」

 そんなことを言う彼女だけど、まんざらでもないのは顔が見えなくてもわかるけど、意地が悪いのは彼女も同じ。俺のことなんていないかのように皿洗いを続ける。それはそれで寂しいものだから、

「そらっ」

「きゃっ!」

 腰に回した手を解き出続けている水道水で濡らしてゆかりの頬っぺたに触れてやる。不意に冷たい感触が来たものだから、ゆかりは可愛らしい悲鳴を上げてコップを落としてしまった。

「家事に夢中になるのはいいけど、俺を無視するのは寂しいなぁ」

「つめはいへふ……」

 頬に触れた両手でそのまま引っ張ってやるともちもちとした触感がたまらない。伸ばしたりつついたり、俺は気が済むまで皿洗いするゆかりで遊んだのだった。



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