過去ログ - 魔王♀「食べちゃうぞー!」勇者の母「食べないでください!」
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63:名無しNIPPER[saga]
2017/05/20(土) 10:35:40.96 ID:FGQZz50A0
目をつむると、小さい頃の思い出が蘇りました。
狼の背に乗って、山をいくつも駆け抜けました。
大きな鳥の魔物の背に乗って、高い空から人や街を見下ろしました。
大きな魚の魔物の背に乗って、何も無い海でひたすら浮かんでいた時もありました。
時には人に襲われそうになり、時には逃げる時もありました。
幼い頃は、いつも魔王がそばにいてくれました。

今は――。
魔王はあまり一緒にいてくれません。
僧侶と戦うので忙しいからです。
少女だってそんなことは分かっていました。
それでも、いつも自分の元へ帰ってきて、抱きしめて欲しいのです。
自分だけを見ていて欲しいのに、そんな我がままさえ分かってくれないのが魔王なのです。
もっと、魔王みたいに強くなれれば、自分だって魔王のそばにいられるのに、と思います。
こんな風に、余計なことでくよくよと悩まなくていいのに、そう思います。

魔王が笑えば、少女も嬉しくなりました。
魔王が手を繋いでくれれば、少女は温かい気持ちになりました。
魔王が抱きしめてくれるだけで、少女はその日の嫌なことが全部吹き飛んでいきました。

自分はこんなに魔王が必要なのに、どうして魔王は分かってくれないのか。
少女は苦しくて、悲しくて、小屋の中で泣きました。





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