過去ログ - 魔王♀「食べちゃうぞー!」勇者の母「食べないでください!」
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62:名無しNIPPER[saga]
2017/05/20(土) 10:16:04.09 ID:FGQZz50A0
少女は分かっていた答えでも、許せませんでした。
魔王の頬を思いっきり引っ叩きました。

バカ! バカ! マヌケ!

魔王は何か言い返そうとしていましたが、少女はそこから逃げ出しました。
後ろで自分を呼ぶ魔王を無視して、山奥の方に向かいました。

しばらく走っていると、狼が池で水浴びをしているのを見かけました。体を思いっきり揺さぶって水を弾じく所でした。
狼に話を聞いてもらおうかと思いましたが、話しても理解してもらえないような気がしました。

誰かいるのか?

狼が耳を立てて言いました。少女は姿が見えない様に低い姿勢を保って、慌ててそこから離れました。
この山には魔物がいて、その全てが魔王の支配下にありました。
魔王にも分からない、この複雑な感情を、魔物に分かるはずがないのです。
じゃあ、どうして自分には感じられるのか、少女には分かりません。
寺子屋で勉強しているからかもしれません。人間たちの営みを知るために、寺子屋に行くよう言われていたので。

少女は思います。どうして、こんなに疑問を持つことになったのか。
ついつい、考えてしまうのはなぜなのか。
感情に揺さぶられてしまうのはなぜなのか。
少女は苦しくなって、ため息を吐きました。

少女は廃屋に着きました。割れた窓ガラスに自分の姿が映り込みます。
すぐに目を逸らしました。
一人になりたくて、廃屋の中に入って、ごろりと寝転がりました。


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