266:名無しNIPPER[saga]
2017/10/08(日) 01:22:17.66 ID:x7PMoiGY0
「おに……いちゃん」
不意に、腕を掴まれた。
掴まれたことは特になにも感じない。
奇妙に思ったのは呼び方だ。「お兄ちゃん」なんて呼び方を佑希はしていただろうか?
おにい、か、未来。
怒ったときは後者だ。その変化について訊ねたことはない。
なぜか、俺は形容しがたい違和感を覚えた。
妹にお兄ちゃんと呼ばれても別に普通なのに、それを身体が拒んでいるように感じた。
"おにい"、だってお兄ちゃんの訳語なのに、なんでだ。
気付くと「おい」、と俺は口に出していた。
佑希がゆっくりと目を開ける。
ごしごし目をこすって、俺がいることにびっくりしたかのようにばっと手を離した。
「なんでいるの」
「……なんでだろう」
「ふほーしんにゅう」
「おやすみ」
出ていこうとした。
寝れば部屋に俺が来たことなんて忘れるだろう、と思ったから。
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