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796:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:13:34.49 ID:HHfyV3AE0

 そして、それは優しさではなく俺の利己的な思考に基づく態度だった。
 俺がやるしかなかったから、今まで彼女を支えてくれる人は現れなかったから、誰も使い物にならなかったから。

 ──先輩以上にそういう役目が適任な人はいないと思います。

 俺は、きっと、こういうふうに頼られることに義務感のようなものを感じてしまっている。
 そうしていないと、強い不安を感じる。"兄"をしていないと駄目なのではないかと思ってしまう。
 ずっとしてきたことだったから、俺の中でもはや性質化してしまっている。

 いつからか彼女に"妹"をされることを不快に思うようになっていた。
 普段は邪険にしているくせに、弱ったときにだけ頼ってくる相手を、それでも優しくしてしまう自分が嫌だったから。

 たまたま俺がそういう役回りを引き受けているだけであって、ずっと彼女だけを見ていることなんてできない。
 彼女が他の誰かを見つければ、そこで俺とはおさらばだ。
 ……でも、もし見つけられなければどうなる?

 それに、相手にとって都合の良い存在であり続けることは、相手が思っているよりも神経を使うことだ。
 常に気を遣って、わかるわけない相手の気持ちを推し量って、本心を口に出さないで。

 そういうことばかりしてきた。
 上手くいっていたと思っていたのは俺だけだろうか。

 佑希は俺の知らないところでとっくに強くなっていると思っていた。
 強いのにも関わらず──ひとりで立っていられるにも関わらず──どこかで溜まったフラストレーションを俺にぶつけることで発散しようとしているのだと思っていた。




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