828:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:43:01.99 ID:HHfyV3AE0
誰も頼んでないのに、ただの兄妹ってだけなのに、俺とあいつは違うのに。
兄妹だと知ったら、みんなは二言目にはあいつの話をする。あいつを褒め称えて、俺は頷いて笑みを返す。
そうするしかないのに、勝手に調子付かれてしまって、三言目にはいつも決まった言葉を掛けられる。
「でも、比べられて大変じゃない?」
「あんなにできる妹がいるとつらくない?」
「妹さんほどじゃないけど未来くんもできるよね」
その何気ない言葉が、薄っぺらい同情が、いつも胸に突き刺さっていた。俺は我慢したのに、やりたいことも捨ててきたのに。
それが一番嫌だったのに。そういう目で見られることが気持ち悪くて仕方がなかったのに。
「わかってるよ」
「……うん」
「俺は何かを背負っていないと不安になって、頼られないと不安になって、
誰かの世話を焼くことで自分の存在意義を確かめようとしてることなんてわかってるよ」
「……」
「でも、でもさ──」
──自分の気持ちの押し付けだけじゃなくて、俺の気持ちだって少しは考えてくれよ。
その言葉は、最後まで出てくれなかった。
1002Res/840.07 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。