898:名無しNIPPER[saga]
2017/12/28(木) 15:35:44.27 ID:xOgRNUoX0
俺はなぜかいたたまれない気持ちになって「すみません」と謝った。
彼女は慌てて「だいじょぶだいじょぶ」と繰り返した。
「……何か弾いてみる?」
「え?」
「ギター。簡単な曲なら弾けるけど」
「ああ、はい。じゃあ、胡依先輩のお任せで」
本当に何も思いつかなくてそう言うと、先輩は眠たげに何度か擦っていた目を大きく見開いた。
すみません、という言葉を引っ込める。堂々巡りになりそうだ。
……まあ、場を和ませようとしてくれていたんだろう。
失敗させてしまったみたいで申し訳ないけど、いきなり言われても反応ができないものだった。
「んっ、こほん。それじゃあいきます。
わたくし塒胡依のアコギで弾き語りのコーナーです」
ラジオのような挨拶をして、ジャッジャッ、と指で弦を弾きつつもう片方の指の位置と音を確認して、俺にぺこりと頭を下げた。
「気休めぐらいになればいいよ 道に迷って引き返して 時間だけ過ぎて行くけど──」
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