934:名無しNIPPER[saga]
2018/01/10(水) 14:08:46.29 ID:LnmL9/o10
「中学校はそこそこ美術活動が盛んなところで、公募とか市の展に作品を出すようにしていて、一応自由ではありましたけど、みんなはそれを目標に頑張ってました」
「シノちゃんも?」
「……いえ、私は特には」
親に見せることですら戸惑ったのに、大多数の目に触れるなんてもってのほかだった。
どこかへ出してみない? とは顧問の先生に何度も言われた。
先生には、部活の都合上どうしても見せなければいけなくて。どういうわけか、取るに足らないと言い捨てられるはずの私の絵を褒めてくれて。
「でもさ、シノちゃんの絵、見たよ。
綺麗な水彩画……私は、いいなって思ったよ」
「……」
「どうして、描こうと思ったの?」
柔らかく優しげに、でも不安そうにこちらを見つめる彼女を直視することができなくて、扉側へ目を逸らした。
私が描いたものを外に出したのは、今の今まで一度しかない。
つまり部長さんが言っているのはあの絵だと思う。
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