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940:名無しNIPPER[saga]
2018/01/10(水) 14:13:48.83 ID:LnmL9/o10

 言い終えて部長さんを見ると、彼女は私の触れていない方の拳をきゅっと胸元で握りしめて、何かを言いたげに瞑目していた。

「……たいしたこと、ないですよね」

 掛ける言葉が思いつかず、出てきたのは自嘲めいた言葉だった。
 語りたいことはこれで全てではなかったけれど、言葉にしたところで──詳らかに語ろうとしたところで──それは私の思考とは別物になってしまうだろうと、打ち止めにしようと決心した。

 どう言い繕っても、つまるところ私の心の弱さが原因であって、対処しようにもそこを避けては通れなくて、そんな状態で何かを表現するなんて、不合理で可笑しくて荒唐無稽としか言いようがないはずで。

 けれど、

「たいしたことないわけないよ」

 小さくそう言って目を開いた彼女の瞳は潤んでいた。




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