941:名無しNIPPER[saga]
2018/01/10(水) 14:15:16.32 ID:LnmL9/o10
「私さ、シノちゃんのこと好きだよ」
「……」
「言いづらいことも話してくれて、私は嬉しい。
どう言うのが正解なのかはわからないけど、シノちゃんは一人でも頑張ってきたんだって思うよ」
「私は、べつに……」
否定の言葉を口に出そうとしたが、部長さんの今にも泣き出してしまいそうな表情に遮られる。
どうして、私じゃなくて彼女が、他人のことにこんなにも感傷的になっているのだろうか。
「絵を描けなくなっちゃったのも、仕方ないことなんだと思う。
コントロールのできない感情に不安になるのも、咄嗟のときに声を出せないのも、いろいろなことの積み重ねでシノちゃんが自分を責めちゃうのも、きっと全部仕方のないことなんだよ」
話していないところまで、彼女は私のことを言い当てる。
「でも、それでも……シノちゃんは『絵を描きたい』って私に言ってくれた。
それはつまりさ……きっと、」
くぐもるような、でも一本芯の通った声は、私の心を強く揺さぶる。絡まった糸が、少しずつ解けていく。
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