過去ログ - 武内P「今日はぁ、ハピハピするにぃ☆」
1- 20
819:名無しNIPPER[sage saga]
2018/07/12(木) 23:09:43.53 ID:0SRwFozAo
  ・  ・  ・

「終わっ……たぁ」


 随分と集中していたらしく、時計の針はいつの間にか進んでいた。
 でも、お昼ご飯を食べて、ゆっくりするには十分な程時間は残されている。
 左手を首筋にやって、凝り固まった筋肉を少し揉みほぐす。
 十代の頃は無かった仕草も、今では何だか板についてしまっていた。


「はぁ……ふぅ」


 軽く、深呼吸。
 大分疲れも溜まってるみたいだし、どこかでパーッと有給を消化しようかしら。
 一週間位取って、海外旅行!……は、逆に疲れそう。
 二泊三日で、温泉にでも行って、残った休日はお家でノンビリ。


「……若くないなぁ」


 自分の発想に苦笑しながら、椅子にもたれかかる。
 この、アシスタントというお仕事をして、アイドルの子達と接していると、たまに思うのだ。
 私は、あの子達に比べて、何て平凡で、ありきたりな存在なのか、と。
 彼女達の様に、夢を追いかけ、輝くような日々を送るだけの何かは、私には無い。


「――よし」


 けれど、そんなアイドルの子達を見守るこの仕事を誇りに思う。
 学生時代の友達に、一度そんな胸の内を話したことがあるけれど、呆れられてしまった。


 仕事人間。


 笑いながらそう言われ、私は咄嗟に否定した。
 だって、仕事人間っていうのは、ああいう人の事を言うんですもの。


「……」


 放っておいたら、どこまででも走って行ってしまいそうな、プロデューサーさん。
 アイドルのために、身を粉にする姿勢は立派だけど、時には立ち止まって欲しい。
 そうでないと、貴方だけじゃなく、周りも大変なんですよ。
 だから、そうならないために、私がなんだか小言っぽくなっちゃうんです。
 わかってるんですか?


「……」


 主が不在の、黒い椅子を見る。
 大手の――346プロダクションのプロデューサーが使用する、オフィスチェア。
 せっかくの高級な椅子なのに、リクライニング機能は忘れ去られたかのように、機能していない。
 居眠りしろとまでは言わないけど、しっかり休んでくださいな。


「……さっ、ゴハンゴハン」


 そう言いながら、立ち上がろうとした、その時。


 ガチャリ。


 ゆっくりと、ドアが開いた。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/519.5 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice