過去ログ - 武内P「あだ名を考えてきました」
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79:名無しNIPPER[sage]
2018/04/21(土) 00:06:50.30 ID:pK1qKcNgo
「プロジェクトルームへ戻る所ですか?」
少し、違和感のある微笑みを向け、千川さんが聞いてくる。
その違和感がなんなのかはわからないが、気のせいかもしれない。
今の私は、動揺しきった後で、まともな精神状態とは言えないだろうから。
そんな私が、誰かの笑顔を疑うのは、あまりにも愚かだろう。
「はい。その予定です」
戻って、やらなければならない事がある。
誰にも気づかれないようにと、痕跡を消し去る事にだけ意識を割いていた。
だが、向き合わなければいけない。
――かつて、私の元を――城を去っていった、彼女と。
「あっ、その前に……少し、屈んでもらえますか?」
千川さんが、チョイチョイと、手で屈むようにと指示してくる。
何、だろうか。
身だしなみの確認は十分に行ったはずだが、見えていない所に、問題が?
私が見なかった場所に、おかしな所があるのだろうか。
「はい。あの、何か問題でも――」
バシンッ!
「……?」
顔が、自分の意志とは関係なく、横を向いた。
続いて、頬に、じんわりとした痛みが広がっていくのが、わかった。
何が起こったのだろうか。
あの、
「千川さん?」
何故、私は、頬を叩かれたのでしょうか?
「何か? 問題でも?」
千川さんの、こんな表情は初めて見た。
目を大きく見開き、声は震え、片方の口の端だけ、釣り上がっている。
向けられる視線は、強く、雄弁に物語っている。
「あるに決まってるじゃないですか!」
バシリと、また、頬を張られた。
それだけでは止まらず、手に持っていたクリップボードで頭を何度も叩かれる。
たまらず立ち上がると、千川さんは手に持っていたものを投げ捨て、胸に拳をうちつけてくる。
何度も、何度も……涙を流しながら。
「……」
それを見つめながら、散らばった書類を片付けなくてはと、ボンヤリと考えていた。
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